その日も晴れだった。 狐火は、例の如く屋上の水道ポンプの隣に鎮座し、空を眺めていた。 キィ…バ、タン 屋上の扉が開いた。 「…よぉ」 『…。』 「よく、飽きねーな。」 『あんたもアタシに構うのよく飽きねーな。』 ふ、と一つ息をつき、政宗に視線を寄越す、が、わずかに見ただけですぐ彼女の両眼は空に向けられた。 「HA!俺は俺のやりたいようにやってるだけだぜ?」 ごろり、と彼女の隣に寝転ぶ。 『…授業はいいの?』 「あんたこそいいのか?」 彼女は一つ苛立たしげな視線を投げてよこした。 「I was just kidding. 怒んなよ。」 ころん、寝返りを打ち、 『質悪ぃ。』 そう吐き捨てた。 「死んだ世界ってのは、どんなもんなんだろうな。」 『…いっそ消えたらいいのに、そしたら、』 ひとりじゃなくなるのに、ぽつり、漏らした。 「いてやろうか、selfishなprincessと。」 『馬鹿。物語のお姫様になったら、ハッピーエンドがつきものでしょ。』 あたしはもう無理、と、ひらひら手を振って、徐に立ち上がり、空に手を伸ばした。 「…foolだな。」 『そうね。』 するり、風が頬を撫でた。 「 」 『 』 「発音悪ぃんだよ。」 声は届かなかった。 Hello good bye (ひらひら羽を振り、) (蝶はどこまで行った?) |