DREAM | ナノ





世界が今日で終わるんだって。ふーん。淡白なまでの最低限の言葉しか返さなかった。え?なぜってほかにどう言えってのさ。何せ愛しいはずの目の前の女の子が寂しそうな悲しそうな表情を浮かべてても何も感じなかったから仕方ない。さらに今更わかったことは思ったより自分はこの世界に頓着してはいなかったらしい。朝10時を過ぎてから取り忘れてた新聞をポストまで取りに行ったけれど別に世界が滅びるなんて文面は出ていなかった。今更どうなったって知ったこっちゃない。佐助、と呼ばれるままに振り向けばさっきの憂い顔はどこへやら。

『朝ご飯早く食べないと昼ご飯と兼用になっちゃうよ。』

人間割り切れば何だって出来るらしい。若干冷めた朝ご飯をもそもそ咀嚼しながらテレビのリモコンに手を伸ばす。一番上の赤いボタンを押せば聞き慣れたニュースキャスターの声が耳に飛んできた。雨のち晴れか。どうやら洗濯物は部屋の中に干さなければならなくなったようだ。食べないの?狐火ちゃん。名前を呼んでやればくりくりした目を外に向けてへらへら笑っていた。そういえば世界終わり方ってどんな感じなんだろう。昔あってたテレビでは巨大隕石が衝突するとかなんとか。地球の軌道がずれたことが原因だと翌日友人と騒いだのを思い出した。もしくは例の7日間みたいに大洪水で死んでいくのかもしれない。前者だったら焼け死んでいくんだろうか。後者は多分体中いろんなところにぶつけてぐちゃぐちゃになってそうだから遠慮したいなぁ。あ、みんな死ぬから別にいいのか。ねぇ狐火ちゃんはどっちだと思う?佐助はいたって普通の感性の持ち主でそれなりに勉強もできたし人当たりもいい方でキスしたりオナニーだってしたりセックスも人並みにするどこにでもいる男だ。だからすぐに気づいた。自分の体が随分腐ってこれはどこかおかしい。白飯を運んだ手があんまり感覚がない。そういえば俺様ってば一週間前に死んだんじゃなかったっけ?



がっかりさせないで


気持ち悪くてすいません

title by「亡霊」