DREAM | ナノ





幸福論だとか有神論だとかを考えることにすら意味なんて在るのか無いのか。ぽやぽやした脳味噌では決することだって不可能だ。色素の酷く薄い髪だとかくすんだような肌の色に滲む赤い血潮を目を眇めて眺めている姿は兎に角滑稽に違いない。ひりつく頬に手をやれば矢張りぴりり、とした痛みが駆け上がってきた。

「君は女の子だね。」

私の首に手をかけて恍惚とした表情を浮かべている彼を胡乱と見やれば何か言い知れぬものが背筋を這い回ってひゅう、と息を吸い込む。がりり、といやに細い指先が食い込むとじわりじわりと赤く溢れ出す。ぶつぶつ、千切れる音がして一拍遅れて彼の手から黒い毛束がぱらぱら降ってきたのを私は横目で捉えた。じくじく、と鈍痛が走る頭皮からは何故赤いものは出てこないのだろう。哲学的な思考を巡らせてみるけれども、だんだんと靄が掛かってきた脳内環境では全く自分で考えている事すら理解できなかった。

『でもあなたはちがうのね、』

瞬間歪む彼の顔はぐらぐらとしていてはっきりしない。でもあげないわ、と呟いて、私は、しんだ。



卓上死




秀吉好きすぎて女の子になりたいのな半兵衛さん。