生存確認でありんす

▼ 11/05/29 (12:26)

ほとばしる閃光。鈍色の刃が翻り、再び叩きつけられる。縦横無尽にあちらこちらに飛び交う気合い一声がむくむく、膨れ上がる狐火の闘志に、確実に火を着けた。ざん!と刀を鞘より抜き去り、鮮血の舞う地面を蹴り上げる。斬り込んできた男をぎらり、太刀一閃。音もなく崩れ落ちた相手は斬られてこそいないものの、この戦が終わるまではまともに立ち上がれもしないだろう。


ギャリ、ン!


視界の端から飛び込んだ、その煌めきを振り向きざま袈裟懸けに払いのけた。飄々とした笑みの中に冷たい闇を灯した迷彩はやはり隠密には向いていない気がする。ひゅお、真横を風を切り、呻りながら通る苦無を横目に捉える隙もなく、巨大な風車が襲い来る。

ああどうしようか。

堪らない。言いようのない高揚感が脳を、身体を支配する。ああ、ああ。これは、この感情は。


『たのしい、』


「楽しいの?それとも愉しい?」


『ははっ、たのしい、』

くぃいぃ、と口角がせり上がるのが止められない。視界が広まった気がする。いや、気のせいではない。現に狐火の瞳は純粋な幼子のように、その楽しみを貪欲にきらきらと求めていた。徐に鈍色を振り下ろしては、ぶつかり合う衝撃に尚も一層笑みが深まった。

自分がまさか闘いを望もうとは、一体誰が予想していただろうか。闘うことが、人と競い合うことがこんなにも甘美な囁きとなって自分を誘おうとは。甘い甘い闘いという名の美酒は既に体中を巡っている。とんだ麻薬が潜んでいたものだ。これではもう政宗や幸村を馬鹿にはできやしない。佐助は強い。頭もキレれば、実力も十分すぎる。

すごくすごく、たのしい!

恐怖は驚くことに全く無かった。殺し合いの最中でなんと不謹慎なことか。そう思ったが最早それを考える理性は、狐火には残っていやしない。


『ぐるぁ、ぁ』


漆黒の宵闇に紛れて現れた琥珀を煌めかせる一匹の狼が、吼えた。




最後は最早人間じゃなくなっている^▽^
殺すのが好きなんではなく、闘うのがいい
ぞくぞくする
変態な管理人ッアー!


image song
T.MRevolution「SWORD SUMMIT」

戻る


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -