「それ以上近付けば俺はお前を殺す」

高い背にしては細身の、スーツの男が言い放った。黒くて太い縁の眼鏡の奥では、暗緑が強固な意思を持って、こちらを睨みつけている。突きつけられた鉄の塊に、ぞくりと何かが背に走った。面白い。率直な感想だった。僕の力量を察知したのだろう、苦しい程の殺気が僕の全身に浴びせられている。視力は悪くとも、人を見抜く目はあるらしい。初対面で僕をそこまで悟る人間はそう居ない。本当に、面白い。殺してしまうには惜しいものだ。嬲って辱めて飼い慣らしてやりたい。加虐欲と支配欲がごちゃ混ぜになって僕の心を満たしていく。…ああ、久しぶりに良い獲物を見つけた。


捕食者の高揚


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