髪型


「そういえば、なんでドレッドから戻したのだよ」

某赤い配管工が駆け抜ける。シンタローが後ろから覗き込んできて、ため息を吐いた。なんでだよ。理由はなんだコラ。コイツはすげぇんだぞ、自分より何倍もでけぇ奴倒せんだ。

「今更それ聞くのかよ」
「別にいいだろう」
「…お前さ、前ぼそっと言ってただろ、オレの髪は触りがいが無いって」

うわ、やめろそれ落としてくんなオラぶっ殺すぞくそやろう。よっしゃ、お前はそこで死んどけバーカ。オレはボス倒すまで死ねねーんだよ。

「…覚えてたのか」
「当たり前だろ」

あ、残機0だ。ちくしょう。あっけねぇな。仕方ない、最初戻って増やすか。あこ割と楽しいんだよな、無双だから。

「オレがお前の言ってた事忘れるわけねぇだろ」
「……そうか」

あ、でももう充電しねぇと。あーあ。ゲーム機を放り投げる。そしたらシンタローがなんでか拳骨を落としてきた。いてぇ。さっきから意味分からん奴だな。

「ざけんな、何すんだよ」
「うるさい、お前が悪いのだよ馬鹿者」

相変わらず理不尽だな。まぁ、いいや。そんな痛くなかったし。きっと、背を向けたシンタローの耳が赤く見えたのも気のせいなのだろう。照れる場面でもなんでもないのだから。


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