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そういえば、そろそろ真ちゃんの誕生日だ。黒板を消しながら思った。当番の仕事は正直忘れやすい。先程も授業開始直前に真ちゃんに言われて、ようやく思い出した。けれどいつも遅い先生だから、と悠長に黒板を消していた。だが油断大敵。よりによって先生が今日だけ速く来て、当然オレは窘められた。もう少し早く言って欲しかった。だが、そんな事はどうだっていいのだ。ちょっと笑われただけだし。重大なのは日付だ。黒板の右端に書かれた今日を表す数字。

(あと2日とちょっとで7月か…)

時間の流れってのは速いな、と思う。黒板が綺麗になったので、席に戻った。このままではあっという間に七夕になってしまう。プレゼントは何にしようか。真ちゃんの欲しい物。数分悩んだが、お汁粉ぐらいしか浮かばなくて泣きそうになった。お汁粉でも十分喜びそうだが、誕生日なのだからもっとちゃんとした物をあげたい。何か欲しい物はあるのだろうか。しかしそれを素直に聞くのもどうなのか。まるで誕生日プレゼントあげるから何かリクエスト言って、とでも言うようだ。うんうん唸って考えていたら、先生がやって来たので起立した。授業が始まってもなお、オレは真ちゃんへのプレゼントに悩んでいた。そうだ、今日は金曜だ。確か明日明後日は珍しく部活が無かったはず。記憶の中の予定表に目を凝らす。うん、多分無い。よし、と呟いて机の下でガッツポーズをした。この土日にプレゼントを選ぼう。チョイスは嫌な物じゃなければいいだろう。ああ見えて性根は優しいから。ふと視線を後ろに回せば、黙々と真ちゃんが机に向かっていた。長い睫毛が光を反射して綺麗だった。


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