prologue 『マジうぜぇ』 『オレに話しかけんな、脳みそ空っぽの分際で』 『友達なんかじゃねーよ、自惚れんな』 耳触りな声が止まない。吐きそうになって、必死で堪えてヘッドホンをした。大音量で好きなバンドの歌を響かせる。周囲の声が聞こえなくなって、小さく息を吐いた。これは発作みたいなものだ。何故かオレには心の声、みたいなものが聞こえる。それも嫌な言葉ばかり。普段は余り気にならないのだけれど、定期的に酷くなる時が今日みたいにやってくる。頭痛に悩まされて、吐き気がする事もある。規則性がないから、常にヘッドホンが手放せない。難儀なものだ。けれど決して子供の頃から、というわけでは無かった。確か、そう。あれは、真ちゃんと初めて出会った日。あの日、オレはこれを手に入れたんだ。 ≪ ≫ |