高尾が酒を持ってきた。 既に酔っているらしく、絡んでくるのが鬱陶しい。 「しんちゃーん、しんちゃーん」 「うるせーのだよ、少し黙れ」 腰にしがみついて離さない高尾を、無理やり剥がしてソファに放った。 ニヤニヤしながらこちらを見る赤い顔に腹が立って、毛布で顔面を潰してやった。 「うぇっ、毛が!毛が口に!」 ざまあみろ。 「………真ちゃん」 もがいていたと思えば、途端静かな声が響いてきた。 毛布を被ったままで、顔は見えない。 「…なんなのだよ」 「……泣いてもいいよ」 赤司の袴姿が脳裏に蘇った。 その隣で微笑む美しいひとも。 毛布の隙間から、黒くて切れ長な瞳が覗いた。 昔より、少しだけ濁っていた。 「…泣くわけがない。お前の揺り篭の中はもう飽きたのだよ」 友離れ |