「宮地さんが足りません」 「は?」 拗ねたような顔をして、緑間がオレの腕を掴んだ。力強く引かれて、緑間はオレの唇を貪る。余りにも必死で、少し可愛い。だが、ここは部室だ。オレ達以外に誰もいないが、ここはれっきとした部室なのである。 (どうしてこうなった) 足りない、と言われたのは何故か。思い当たる節が無い訳でもなかった。最近、受験勉強やら何やらで忙しくて、会う機会が減ってしまっていたのだ。けれど緑間は表情を変えず、いつも了解の意を伝えてきた。オレの事情も理解していたし、そこまで恋愛に熱心ではなかったからだろう。…と、思っていたのだが。 「っ…は、宮地さん…」 頬を淡く染めて、涙目になりながらも、オレを求める。また口づけられて、何も出来ずに受動的にそれに応える。緑間真太郎とは、こんな奴だっただろうか。こんなに、誰かに縋り付いていただろうか。 「みや、じさ…?」 こてん。首を傾げる。冷静な脳内が、一気に沸騰しそうだった。考える事を止めて、惚けている緑間を押し倒す。形成逆転ってやつだ。 「っえ、宮地さ、」 「お前が悪い」 責任を転嫁して、驚いて開けられたままの口に自分のそれを重ねた。 欠乏中 title by 余韻 |