アイスココアの中で、氷が弾けた。紫原がそれを見て、目を輝かせる。それがまるでおもちゃを与えられた子供のようで、微笑ましかった。

「オレもそっちにしとけば良かった」

ぶすくれた顔でイチゴミルクを啜る。先程の明るい表情はどこへ行ったのやら。ストローを噛むな、と注意すれば、小さく唸って噛むのを止めた。素直に言う事を聞くのは紫原の良い所だと思う。とは言っても、聞いてくれない事もあるのだけれど。

「お前は氷が欲しいだけだろう」

カラン、と小気味良い音がした。溶けてしまうのではというくらいの熱視線に、苦笑した。

「あのね、色々ちゃんと見てみるとさ、すげぇ面白いんだよ」
「今まで見ていなかっただけなのだよ」
「そうだよ」

反論するかと思ったが、案外軽く肯定された。

「ミドチンといたらなんか色んな事が気になって、色んな事が楽しい」

不意ににこりと笑いかけられて、狼狽してしまう。太陽みたいな笑顔が、一際輝いて見えた。


無邪気さは時に毒です

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