「大坪さんって大きいですよね」 唐突に緑間が言った。 大坪は、ボールを持ったまま緑間に振り向いて答える。 「そうか?そんなに変わらないと思うが」 「無駄なく筋肉がついてます」 緑間が大坪の身体にそっと触れる。 鍛え抜かれた身体は、硬いくせに弾力があった。 「ああ、背じゃなくてそっちの話か。筋トレは昔からしてるからな」 「努力を怠らないと、そうなるんでしょうね」 ふ、と緑間が微笑んだ。 それに大坪は目を丸くして、次第に顔を綻ばせた。 「それにしても緑間は細いな」 「そうでしょうか」 大坪に柔く腕を掴まれて、緑間は首を傾げた。 うーん、と唸りながら大坪は緑間を眺める。 「何kgあるんだ?」 「…80kgぐらいはあります、確か」 「…オレとお前の身長差に比べて体重差半端ないな…。緑間、もっと肉つけた方がいいぞ」 心配そうな瞳で言われ、緑間は眉尻を下げた。 この人のこういう顔には敵わない。 「…分かりました」 「まぁ、少食は直らんかもしれんが頑張れ。それもお前が言う人事ってやつだろうから」 大坪が優しく笑って、緑間の頭を撫でる。 はい、と呟いた緑間は気持ち良さそうに目を伏せた。 |