「先輩、オレはどうしたらいいんスかね」 黄瀬が弱々しく呟く。 見えない犬の耳が垂れ下がっているように思えた。 「そんなん知らねぇよ」 そうっスよね…と黄瀬は沈んだ顔を更に歪めた。 今日は立ち直れない程悩んでいるらしい。 いつものようにすぐ復活するのなら構わないのだが、このままでは練習に響いてしまう。 いや、果ては試合にまで響くかもしれない。 練習試合が近いのに、これじゃ駄目だ。 「何があったんだよ」 「…先輩に聞かせる程の事じゃ無いっス」 聞いてやろうとしたのに、その態度はなんだムカつく。 「…もう聞けっつっても聞かねぇからな」 「えっ」 「なんだよ」 「いや、なんでもないっス…」 こいつめんどくせぇな。 聞いてほしいのか聞いてほしくないのかどっちかにしろよ。 「…3分以内で終わらせろ」 「は、はいっス!」 |