新幹線に揺られて早数時間。 着いたのは、いわゆる銀世界だった。真っ黒なコンクリートと高層ビルで出来た東京とは正反対だ。 はぁ、と息を吐けば白く揺らいだ。 寒いのは分かっていたので厚着をしてきたのだが、それでも酷く寒い。無意味と知っていたが、マフラーを少し上げた。 「お〜い、ミドチ〜ン」 のどかな声がして、そちらを見やる。聞き慣れたそれは、耳がもう覚えてしまっていた。 真っ白な景色の中から、紫原が小走りで駆け寄ってくる。よく転ばないものだ。もうこの地に慣れたのだろうか。 ぼーっと眺めていたら、気付かない内に紫原が目の前にいた。 へへ、と嬉しそうに笑っている。赤く染まった鼻が愛らしかった。 「久しぶり〜」 「久しぶり。と、言っても連絡は取り合っていたがな」 「でも淋しかったし」 「…俺もなのだよ」 ぽつり、と本音を言えば、途端に紫原が表情を明るくさせた。ぎゅう、と抱きしめられる。 「ミドチンがデレた〜」 「う、うるさいのだよ!」 俺だって、会いたかった。普段過ごす分には構わないのだが、疲れた時や辛い時に側にいてもらえない事も、いてやれない事も、悔しかった。久々に愛しい人に会えて、嬉しくないはずがないのだ。 紫原が頬を擦り寄せてきて、擽ったい。懐かしい体温に包まれて、自然と頬が緩んだ。 「う〜ん、やっぱミドチン好き」 「知っている」 「そこは俺もって言ってくれないんだ」 「………俺も、好き、なのだよ」 「へへ、オレのがもっと好きだし〜」 「む、俺の方が大好きなのだよ」 「オレはもっとも〜っと大好きだし!」 「俺はお前の3倍は大好きなのだよ!」 |