07 「アリス…ゲーム?」 鐘の鳴り続ける中、耳を塞いだ格好のままで未亜は目の前の二人に尋ねていた。 「そう、ゲーム。アリスを決める為のゲーム」 「くそっ、早すぎだろ始まるの」 未亜の疑問に答える猫羅とは反対に、悪態をつく零兎。 アリスゲームとは何なのか。 アリスを決める為のゲームとは? 鐘の音が響いた瞬間から零兎と猫羅は警戒している。 一体そんなに何を警戒しているのか、未亜には分からなかったが。 「お嬢さん、俺らから絶対に離れないでね」 「え?」 「約束。守れるね? じゃないと俺らが君を守ることは出来ないから」 猫羅が小さな子供に聞かせるように未亜に言う。 それは優しいながらも有無を言わせない何かがあった。 しかし、『守る』とはどういうことなのだろうか。 猫羅も零兎も真剣な表情。 未亜だけが状況が分からなく、置いてけぼりの状態だった。 「ねぇ、アリスを決めるって?」 「……自ずと分かるよ」 分からないことだらけ過ぎて、未亜は尋ねる。 しかし、猫羅はそう一言しか言ってはくれなかった。 「大丈夫だ。アリスは…絶対にオレが守るから」 不安げな表情になっていたのだろう、零兎は未亜の手を握り締め、そう言葉を掛けてくる。 そう言う零兎の表情は柔らかくて。 未亜がいること、未亜を守ることが出来ることが嬉しいようであった。 その表情に一瞬、未亜はドキリとした。 (こんな表情するんだ……) 綺麗な瞳だな、と未亜は零兎の表情を眺めながらそう思った。 どうしてこんなにも未亜に執着心を抱いているのか、彼女には訳が分からなかったのだけども。 ただ、この感情をぶつけられることに対し、嫌悪感はなかった。 むしろ、どこかで嬉しさを感じていた。 「鳴り止んだね」 猫羅がポツリとそう言う。 確かにけたたましく鳴り響いていた鐘の音はいつの間にか止んでいた。 先程の音がゲームの開始ならば、鳴り止んだ今、本格的に始まったということになるのだろう。 ざざざざ、と森が鳴く。 それは何だか不気味で。 未亜は直感的に嫌な感じを覚えていた。 身体が、心が。 何かしらの警告音を発していた。 それが一体何なのかは分からなかったが。 これから起きることになのか。 目の前の人物達に対してなのか。 それとも……。 手に力が籠もる。 気がつけば、握られていた零兎の手をもっと強く握り締めていた。 一体何が待ち受けているのか。 それは分からない。 まだ、アリスゲームが何なのかさえも。 猫羅と零兎は『完全なるアリス』と言っていた。 アリスを決めるとも。 ここはアリスの故郷で、魂の在処で、アリスの居るべき場所で。 謎が多すぎて訳は分からない。 ただ、この先に何か得体の知れないものが待っていることだけは、未亜は分かっていた。 ----- (10/01/07) やっとゲーム開始です。 この後の繋ぎはたぅに任せた!← 好きなように始めちゃって下さいなwww 東鴇 ← |