痺れる爪先
「よし、こっちじゃちひろ!」
「た、高杉さん…待って…」
キョロキョロと辺りをうかがいながら歩く高杉さんに連れられて、長州藩邸の裏口へ向かう。
高杉さんは苦手なお客さんが来るから逃げるらしい。
い、いいのかなー?桂さんに見つかったらお説教されるに決まってるのに…
…あ。
「おし。鍵かかっちょらん!行くぞ!」
「ほうか。どこ行くんなら?」
「!!!」
「…か、つらさん…」
高杉さんが裏木戸に気を取られているうちに、
ふと振り向いた背後には桂さんが微笑みながらも黒いオーラ出して縁側に立っていた。てゆうか怖い!仁王立ち!
「晋作。何しよんな?まだ仕事は終わっちょらんで?」
「あ、いや…野暮用じゃ!ちひろが買い物があるっちゅうて…」
「ええっ!?私ですか!?」
挙動不審な高杉さんにびっくりした!この人私に責任なすりつけてきたよ!さらに桂さん怖い!
「ほうか。ならわしが後から行っちゃるけん、二人ともたちまち上がれや。」
縁側から見下ろされてるから威圧感が半端ない。
そろっと高杉さんを見ると、観念したかのようにはあーっと大きなため息をついた。
「こがーに早う見つかるとは思わんかったわ。」
「当たり前じゃ。ドタドタ騒ぎおってからに。ちったあ真面目にせえ。ちひろさんもホイホイ着いて行ったらいけん。」
「はい…すみません…」
ああもう…これから桂さんのお説教タイムが始まるのが怖くてしょうがない。
足が痺れるのを覚悟して、私と高杉さんは桂さんに向かい合って座ったのだった。
「ほいじゃあしまいじゃ!わしは行くで!」
「高杉さん?」
「晋作!」
「じゃあの!」
桂さんのありがたーいお話をたっぷりこってり聞いてから、ちょっとの隙に高杉さんは逃げて行った。
私もといきたいけれど、正座してたから足が痺れて動けない。
「はあ…ったく、せわしいやっちゃ。」
「………」
「ちひろさん?どうしたん?痺れたんか?」
「はい…足が…」
私はそのまま両手をついて腰を浮かせたけれど、痺れた足の感覚がない。
てゆうか痺れたあとのビリビリした感覚が来てやばい。
「くうーっ!痺れたあー!」
「ふふ…しょうがないのお。」
すうっと側に来た桂さんはにっこり笑って…
「きゃあ!?ちょっと…やめてくださいっ!」
なんと痺れてビリビリきてる私の足をつんつん触ってきたのだ!やめてくださいほんと勘弁してえ!
「かつらさっ…!やめっ!」
「駄目じゃ。お仕置きじゃけえね。」
涙目になってきた私を楽しそうにいじめる桂さんを睨んでみたけど、逆効果みたいだ。
ますますビリビリしてきた私は我慢できなくて、とうとうドタンと転げてしまった。
「うう…桂さんひどい…」
「ちひろさんにわしがどんだけ心配しちょったか教えてやらんとのう。」
ぽんっと頭に手を載せて桂さんは笑う。
心配、と言われてちょっと反省しなきゃと思ったけど、
すぐに再開された足つんつんに悲鳴を上げることしかできなかった。
もう桂さんを怒らせないようにしよう、と心に誓った1日でした。
あとがき
長州弁な高杉さんと桂さんでした。
いじめっこ桂さん。
言葉がわからない部分あるかな…?
私は安芸の国なので、長州はお隣で言葉もだいだい同じです。
なので想像。間違ってるかも!雰囲気をお楽しみください!
mikaさんに捧げます!
「いろは」の管理人かえ様に頂きました相互記念SS(*^^*)
私の「桂さんの方言が聞きたい」という願いを見事に叶えて下さいました!
読んでしばらく笑いが止まらず…お腹が痛かったです(爆)
長州コンビかわいすぎる〜〜 しかも桂さんがイジメっ子!
なのに、ほのぼのとした雰囲気で♪とても楽しかったです(●´艸`)
かえさん、ありがとう!!
2011/03/25
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