序章





滅多に使わぬ書籍の中に、文が隠されているなどと……
いったい誰が予測できただろう。

私は彼女の起こす不思議で奇怪な行動が、
愉快で趣き深いとさえ感じるようになっていた。


――それにしても・・・――


いつの間に……?
本当に彼女が隠したものだろうかと訝しむ。

私が不在の時に済ませるのは簡単だろうが、
彼女が私の部屋に勝手に入るという選択を躊躇いもなくするだろうか……

そんな風に自分に疑問を投げつけておきながら、
それを喜んでいるのだから手に負えない。


良くも悪くも、
出てくるのは溜め息ばかりだ・・・


どちらにせよ本人を前に確認しないことには、
この気持ちも、先程までの作業の続きも……解決しないように思えた。


――この決着は、君に委ねようか――


私は彼女からの初めての文を大切にしまうと、
身なりを整え、部屋を後にした。

















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