一生に一度の恋だから [5/26]



竹の花咲く瞬間を、共に見ることのできた二人は…

きっと結ばれる運命だったのね。



それは、五十年に一度の奇跡。









一生に二度と見ることは叶わないという、幻のような稀少な一時。

そして私達は、苦難を越えた先に突如として訪れた、
いくつもの偶然を重ねたあの日に、出逢った。

これらを引き合わせた力を、運命や奇跡と呼ばずして何と呼べようか……



私は貴女のために、貴女は私のために、生きているのだと思いたい。

そのために生まれて来たのだと信じたいのです。



他者の内に生き甲斐や生きる意義を見いだす幸せや充実感。

貴女が私に与える価値で満たされる、私のこの幸せな心情が、
貴女の心までを満たしてゆく。

こうして我々は共に幸せで在り続けることができるのですね。



誰もがきっと、誰かに認められることを望んでいるのでしょう。

そんな特別な誰かと出合った時、その人の生涯は報われて…終生が、救われる。

人間とは複雑なようでいて、単純な生き物なのかもしれません。



最後の最後で救われたなら、
それまでどれだけ長く過酷な日々であったとしても、

悔やんだ記憶をかなぐり捨てて、生まれてきて良かったと…
心安らかにこの世を去る事ができるのですから。



だからこそ私達は、その瞬間を求めるあまり、生き急ぐのかもしれません。

短い一生を、少しでも長く満たされて生きるために、
満足な最期ために、日々奔走する。


そして彷徨って、見失い、躓いて、泥にまみれ、傷ついて、血まみれになりながら…それでも走る。



人は愚かな生き物で、脆く儚い生き物…

些細な事に翻弄されては必死に生きる、愛しいものですね。









『あなた、また…何か難しいことを考えているでしょう?』


「ほんの少しだけね…」


『あんまり一人で遠くに行かないでくださいな…
 私は今、此処にあるのですからね』


「ふふっ、君の言う通りだ」


『考える事も大切ですけれど、こんな素晴らしい物を前にして…
 今この瞬間を大事しなくては後悔してしまいますよ?』


「そうだった、勿体ないことをしてしまうところだったね…」







君が側に居てくれる幸せ、目の前の幸運に感謝して、今を大切にしよう。


そして沙織… 貴女を全力で愛し続けましょう。


限りある、人生だから・・・

















2011/03/03
詩っぽい雰囲気のSSですが、たまにはこんな夢もアリかなと(*´υ`)
「熟年夫婦」と書きましたが「老夫婦」でもOKな気がします♪
ずいぶん前(去年)の下書きを引っぱり出してきました!(なので短い…)




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