「わたくし、最初はてっきりフェルディナンドは幼女趣味なのだとばかり思ってました……美幼女が気に入って、囲うために契約を持ちかけたのかと」
「その話はやめなさい。私とて相手があまりに幼くて最初は驚いたのだ――だが、君の中身は成人していた記憶のある女性なのだから、問題あるまい。言っておくが私は断じて幼女趣味などではない。他の子供を見て疾しいことを考えたことなど一度もない」
「……子供相手でなければあるのですか?」
「あり得ぬ。私はもともと子供も女性も好かぬ」
「そうなのですか? それはそれで、成人男性として大丈夫なのでしょうか……結婚後とか。その頃にはわたくしだって女性らしくなっていると思いますよ? 可能なら子供も産みたいです。無理なら諦めますけど……」
「……私は君の夫になるのだから問題ない」
「んー? それってどういう意味ですか?」
「私が、色事について考えるのは……君だけだ。妻に反応できるのなら、夫としては十分であろう……第二第三夫人も愛妾も必要ない」
「なるほど? わたくしの感覚としては、一夫多妻でないのは有り難いお話ですし、子作りの懸念がなくなったのは理解しましたが……」
「…………」
「……本当に幼女趣味ではないのですか?」
「違う。……君が、そうやって恥じらいもなく明け透けにものを言うからこうなるのだ」
「それは申し訳ありませんでした……」
「全くだ。……とにかく、私がこのようになるのは君が相手だからだ。間違っても幼女だからではない!」
「わ、わかりました……――それにしても御立派というか、元気ですね。長いこと禁慾生活をされていたせいでしょうか……すごい硬くて――」
「慎みッ!」
フェルディナンドは真っ赤になって怒っていた。
そんな恥じらう彼が可愛くて、ついつい言葉で苛めてしまうローゼマイン。彼女が反撃にあうまであと少し――
2020年11月8日
本編『価値観の違いA』のあとで、「両思いオメデト♪よかったねぇ(n*´ω`*n)」な気持ちで浮かんだ没ネタです。