自室に戻って考える。
かつて、私たちは夫婦であった――
そして、その事実を今も互いに認識している。それはつまり、現在に至るもその関係が続いているということなのではないだろうか。
前の世では死別はしたが、離縁したわけではないのだ。
ならば婚姻関係が継続されていると考えるのが普通だろう。なぜ今までそのことに気づかなかったのか――己の愚昧さに腹が立つ。
彼女は私の妻であり、私は彼女の夫のままだ。
「ふむ。ならば何の問題もないな……」
もしかしたら彼女もそう感じていたのかもしれぬ。
だからこそ、まるで引退した老後の過ごし方でも語るように将来のことを話していたのか。
「なるほど」
婚約や婚姻について焦るでもなく、卒業後の希望や行動指針についてばかり相談されるのも、それならば納得だ。
再びグルトリスハイトを得た今、私は遠慮なく愛する妻のもとへ通うことにしたのだった。
夫ならば当然の権利である。
あとがき
このあとマインに夜這いを仕掛けるフェル様です。
R18な展開を避けるため、これにて完結とさせていただきますw
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
2022.03.10 文月ちえり*εïз.。