sideクラピカ


ゴンとキルアに呼ばれて集まると、ナナミだけがそこに居ないことに気付く。

「あれ、ナナミは?」

「そういや、いねーな」

あたりを探すもナナミの姿は見当たらない。
その瞬間、思ったことは何故≠ニいうことだった。

何故、目を離してしまったのだろうか
何故、なにも言わずに行ってしまったのか

困惑と心配が織り混ざったような心境にありながら、努めて冷静に対処するようにする。
気にはなるが今は試験に集中すべき時だった。







結局、五つの隠し扉のうちどれを選んでも行き着く先は同じであった。
多数決の道≠ニいう、五人一組で攻略しなければならない試験に参加するにあたり、オレ達は残り一人のメンバーが降りてくるのを待っていた。

待っている間に考えるのはナナミのことだった。
せっかく五人一組でという道になったのに、運悪くナナミとは別行動になってしまった。

(彼女のことだから、一人でも心配はいらないのかもしれないが……)

それでも心配という名の不安が消えることはなかった。
やはり数少ない女性だからかもしれない。










闘技場のようなエリアで囚人達との格闘を経て、オレ達はレオリオの失ったチップ50時間を払うために控室で過ごしていた。
いろいろと設備の整った部屋であり、不便することはなかったが、やはりナナミのかわりにトンパのいる状況はどこか違和感があった。

「今ごろナナミはどうしてるんだろうね」

「案外もうクリアーしてるかもしれねーぜ?」

「ま、怪我をしてもナナミなら心配いらねぇしなぁ……」

三人が話す傍らで、確かにそうだと同意する自分もいるのだが、それだけでは拭えない不安が、こびりついたように離れなかった。

そんな時……


ゴン、キルア、レオリオとオレの上空に、キラキラとした白い光が現れて降り注いだのである。

その瞬間の安堵と高揚は言いようがなく、四人で視線を交わして頷き合った。
全員が同じ気持ちのようだった。

「ナナミは無事だ」

「なんか元気が出てきたね!」

「怪我でもしてれば治ってたかもな〜」

「なんだなんだ?! 今の光は!?」

「けっ、テメーには関係ねぇよ!」










最後の最後に究極の選択を迫られたものの、ゴンの機転のおかげでオレ達は無事にその難関を突破し、ゴールのある地上へとひたすら滑り降りていた。

またしてもギリギリの到着になってしまったが、合格は合格だ。
安堵の息を吐いてたどり着いた部屋を見渡す。

「ゴン! キルア! クラピカ!」

駆け寄ってきたのはナナミだった。

「良かった、間に合って……あ、レオリオも! そちらの方は?」

どうやら一時試験の初めに会ったトンパのことを、ナナミはすっかり忘れているようだった。初対面のような挨拶をしている。

「ナナミも無事だったんだね! あ、そうだ! オレ達にお祈りしてくれたでしょ?!」

「うん。時間がかかってるみたいで心配だったから……でも怪我もないみたいで安心したよ」

ゴンが大変だったと話す傍らで、キルアは面倒なだけで楽勝だったとナナミに話す。
この二人はナナミのことを姉のように慕っているのかもしれない。労い、褒められることで嬉しそうにしている。

「クラピカは? やっぱり大変だった?」

「ああ、そうだな。スムーズとはいかなかった……とにかくレオリオの阿保が簡単な罠に引っかかってだな」

「なっ! オレかぁ?! オメーだって意地張ってトドメをささなかったりしたじゃねーか!」

「それを言うならチップ損失の方が大きいと思うが?」



賑やかにお互いが乗り越えた試練について話していると、三次試験の試験官リッポーと名乗る者が現れて場をまとめる。


早くも四次試験の説明が始まったのだった――





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