『はぁ……』
また小姑みたいなコト言われちゃった。
どうせ私はろくでもない役立たずですよーだ…
いっつも思うけど…
あの人の嫌みな物言いって、
ドコからくるのかしら…
昔っからこうなのかな?
私は想像してみる……
子供の頃から意地悪で、イヤミで、高飛車な彼を。
『ぷっ……!』
なんか、リアルすぎて笑えるっ!
あの人の可愛げがある姿なんて想像できないもんね…
『可愛げかぁ……』
優しいところが無いわけじゃないのに。
博識で、頭もいいし。
周りからは尊敬されてるみたいだし…
大久保さんを崇める人達の中にいると、
変に私だけ浮いてて…
私だけが可笑しいみたいに見られるから不思議だ。
どう考えても大久保さんの方が変なのに…
『ほんとに私の方が変なのかな?』
確かに初対面で偉そうに文句つけたのは、
私の方が悪いというか…
非常識だったとは思うけど。
でもそうさせたのは、
彼の物言いがあんまりだったからで…
『って、ダメダメ…
人のせいになんかしたら…
これじゃあ大久保さんと同じになっちゃう!』
「ほぅ…小娘がずいぶんと不遜だな」
『お・大久保さん!?いつからそこに…!?』
「容易く私を倣えると思うなよ…
まずは師を慕うことから始めるのだな」
『一体なんの話ですか…』
「私に学びたいのであろう?」
『誰がそんな恐ろしいことを?』
「ふんっ、誇張も大概にしろ。
時間を割いてやってもいいと言っているのだ…
素直になれ。そして有り難く受けるが良い」
『はぁ……』
「明日から夕餉の後に私の部屋に来い。話はそれだけだ…!」
そう言って風のように去っていった大久保さん……
(何だったんだろう…)
『あ…』
もしかして、もしかして…!
気遣って…くれたのかな?
私がこの時代の常識を知らないことで、
もう恥をかかないで済むように…?
『う〜ん……』
たまたま気が向いただけなのか、
わざわざ気を利かせてくれたのか…
『判りにくいなぁ〜もう…』
でも その悟らせないようにするところが、
彼の優しさなのかもしれないけど・・・
『大久保さんこそ、もっと素直になればいいのに…』
2010/12/14
「幕恋事情で18のお題」より意地悪な彼にtryしてみた♪42/64