行為の後、イルミはいつもの冷めた表情で突拍子も無いことを言い出した。

「もし子供ができたら、殺すかも」
「私を?」
「ちがう。子供」
「どうして」
「だってお前から生まれてくるなんてずるいよ。俺もナマエの遺伝子を持ちたい」

お前の子宮でお前の羊水に浸ってお前にもらった細胞で出来上がるなんて何様なんだと、彼は気狂いじみた因縁をつける。

「はいはいイルミが私のこと大好きなのはわかってるから」

聞いているこっちは心から引きながら反面照れくさかったので茶化してしまおうかと思った。けれど本気で語るイルミの前では無駄だった。

「お前さえいるなら他はどうだっていいんだよ」

おそろしいことにイルミは真剣そのものだ。

「…好いてくれるのはおおいに結構だけどあんまり異常だと捨てるからね」

わざとあきれた調子で言うとイルミはまた真面目腐ってこたえた。

「逃げるなら子供がいなくて身軽な今のうちだよ」
「そういう事言うかな、普通」

どこまでも冷めた顔して極論を述べる彼に脱力する私。イルミは不思議そうに眉を寄せる。

「お前のために言ってるのに。何が不満なのさ」
「逃げる後押しするところじゃないの。泣きついてでも引き止めるくらいの情熱を見せて欲しいってことだよ」
「なんて言うんだっけそれ。乙女心?複雑怪奇だね。まあ大丈夫、それに関しては心配いらないよ」

一体複雑怪奇なのは男のほうじゃないかと、少なくとも遺伝子を欲しがるイルミに関してはよっぽどそう思うのだけど。それはそうと。

「心配いらないって、じゃあ私が逃げたらどうするの?」
「そのときは地の果てまででも追いかけるつもりだし、追うなって言われても聞けない」

隣を見るとやっぱり冷めた顔をしている。それでいて口先では驚くほど情熱的なのだから、まったく彼にはまいってしまう。
火照りだして熱くなった私の肌に触れながら、イルミはつぶやいた。

「ねえナマエ…もう一回しようか」

よく知っているその指先もまるで体温を分け合ったみたいに熱かった。

「……」

黙って見つめる私から見事、複雑怪奇な乙女心を読みとった彼は上体を起こしてくらくらするようなキスをくれた。
20150425

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