「なるべくはやく除念してくれ」

らしくもなく焦れている。
クルタの生き残りに鎖で念をかけられて、団員のナマエには当然会えなくなった。向こうはせいせいしたと喜んでいたかもしれないが、こちらは最低な数ヶ月だった。


記憶をたどってマスターベーションしてもどこか決定的に物足りない。ナマエに触りたい。においをかぎたい。あの首筋に顔をうずめて細い腰を抱き寄せながら眠りにつきたい。

欲求不満はつのる一方だ。

限界が近い俺の脳内は朝から晩までえんえんとナマエの一人舞台が自動再生。
不満そうに曲がる口元、ショートパンツからのぞく白い足、つかんだ手首の細さ。無防備な胸元。紅潮した頬。追い詰められた表情。
彼女は俺を受け入れていないしまだそういう関係ではない。妄想と記憶の区別もつかなくなりかけている。
近頃では夢にまでお邪魔される始末でいいかげんそろそろおかしくなりそうだ。
夢で会えるならいいじゃないかって誰かが言うかもしれない。だが、本物じゃないなら何も意味がない。起きてしまえば虚しい。見なければよかった。ただいっそう恋しくなるだけだ。


「クロロ、除念の準備できたって」


さて、終わったらどうやってあいつのところまで飛んで行こう。
おそらく再会を喜ばれるどころかうんざりした顔をされるのだろうが。

ゆめのつづきをちょうだいよ
20150420
(安眠どろぼうとプラチナの呼吸の間に入るおはなし)

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