「ナマエ、もう寝るよ」

「うん」

流星街にいた頃からわたしたちはこうして寄り添って眠りについてきた。飢えて満たされないさびしい夜をやり過ごすために。
大人になった今も何ひとつ変わらない。胃はじゅうぶんに満たせても何かが死ぬほど足りなくて渇いて不満でさびしい。
何が欲しいのかわからないからとりあえず毛布の中で探り当てた手を握る。腕を回されて抱きしめ返す。家族のようで恋人のようで親友のようでだけどそのどれでもない。クロロとの間にあるのは愛ではないし、信頼でもない。セックスをするわけでもない。ときめきもない。ただ執着がある。小さな子どもがお気に入りのテディベアに抱くような執着がある。
クロロは左腕でわたしの頭を抱く。わたしは右耳で彼の心音を聞く。そうして深い深い安らぎの中で溺れるような眠りにつく。
20150606

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