13恋しいナポリタン
「というわけでクロロからの伝言、たしかに伝えたよ」
通話を終えてなまえのもとに戻って来たイルミはクロロからの用件を伝えた。
「……うん、どうもありがとう」
聞くなりなまえはクロロのことか団員のことか、いずれにしても気になって仕方がないという様子で落ち着きをなくした。イルミはそれが面白くなかった。
「で、クロロに会いに帰るの?」
予想通りあからさまに動揺するなまえを横目で見ながらあくまで素知らぬふりをして執事が淹れなおした紅茶に口をつける。
「かえらないよ。…べつにクロロなんか会いたくないもん」
「ふうん、そう」
などとすましてカップを置きながら内心ざまあみろとあの男にほくそ笑んでいた。
屋敷に戻るとなまえはひとり客間でほうけていたがしばらくすると執事が呼びに訪れた。
「失礼します。なまえ様、お食事の用意ができました。リビングへどうぞ」
「…あ、はーい」
廊下に出ると、ちょうどイルミも呼ばれたらしく一緒にリビングへ向かう。
「奇遇だね、今夜はうちもナポリタンだって」
「…そうなんだ」
それを聞いてもなまえははしゃげなかった。修行を終えたらしいキルアとアルカも席に着き、全員がいただきますと口をそろえてから食事がはじまった。
「食べないの?」
フォークを持ったままいっこうに手をつけようとしないなまえにイルミがたずねる。
「口に合わなかったか?」
上座からシルバが話しかけた。なまえは首を横に振る。
「いいえ、とてもおいしそうだし、ナポリタンはだいすきです」
意を決して顔を上げた。
「……でも、やっぱりおうちにかえります」
なまえは眉尻を下げ元気のない顔をしていた。
「へ、ほうはへんほ?」
ナポリタンを口に頬張ったままキルアが反応した。え、もう帰んの?と言ったらしい。
「キルア、行儀」
すかさずイルミが注意する。
「キルア、アルカ、イルミ遊んでくれてありがとう。シルバさん、キキョウさんお世話になりました。とつぜん来たのに泊めてくれて本当にありがとうございました」
ぺこりと頭を下げたなまえのぶんのお皿は隣からミルキが奪い去った。
It's my favorite
(やっぱりクロロが恋しいわけ?)
(ちーがーうー)