「俺はもうプロハンターだから手に職もあるし、そもそも天空闘技場に行けば相当稼げるよな」
「そうだね」
「貯金もそこそこあるし、名前ひとり養うのだってわけないぜ」
「そうなんだ」
「将来のことも結構考えてるしな」
「ふうーん」
キルアは不満げに口をとがらせた。
「…もっと、ないのかよ」
「え、なにが?」
「感想」
「…どんな?」
「だーかーらー!…将来性があって頼れる男だな、とか思わないのかよ」
キルアは怒ったように大きな声を出したかと思うと最終的には照れ臭そうに横を向いてしまった。
「どうしたの、急に」
「…だって俺、名前より年下だし、頼れないとか思われないようにしねえとって」
「キルア、そういうこと気にしてたんだ?頼れないなんて私思ってないのに」
「うそつけ、俺のことガキだと思ってるくせに」
「思ってないって」
「だってさ昨日名前、兄貴のことガン見してただろ。やっぱ年上の男の方が頼れるとか思ったんじゃねえの?」
そういえば、昨日はじめてイルミさんに会ったとき思わず頭からつま先までじろじろ見ちゃったんだっけ。
「あれは、キルアが10年後にはあんな風になるのかなって見てただけで、年上の人がいいとかそういうわけじゃないよ」
「………んだよ、俺てっきり兄貴みたいな大人がいいのかってさ」
「べつに何歳だって、キルアがいいよ」
私がはっきり言うと、キルアはちょっと顔を赤くして、頬をかいた。上目がちにこちらを見る。
「…じゃあ、俺のこと男として見てくれてんの?」
「あったりまえだよ」
「…あーよかった!ハルがしてくれんのってほっぺちゅーとかばっかだし、相手にされてないのかと思ってたんだよなー」
切り替えのはやいキルアはさっきまですねていたと思ったらすっかりご機嫌になっている。
「けどさ、これでキス以上のこともできるな」
今度は少年のように無邪気にしていたのが打って変わって、低い声であやしく言ってみせた。
「え、キルアこの体勢は一体…」
「なに青い顔してんだよ名前」
私を組み敷いたキルアは猫のような顔つきで、してやったりと笑った。
「ちょっと待って、」
「やだね、俺もう我慢の限界だし」
手首をつかむキルアの力は鍛えているだけあって、年下といえど全く敵わない。
ああ、弟にしか見えないとでも言っておけばよかった!
end