〜柳生side〜





彼女が孤児だと言うのには驚いた。
別にそれで彼女を軽蔑したりなんてことはない。
彼女はその立ち振舞いにどこか気品があり、育ちの良さがうかがえた。
おそらく、彼女の義父の躾がよかったのだろう。
彼女も厳しい人だと言っていた。


彼女が孤児だったと言うことにたいして、驚きともうひとつ疑問が浮かんだ。


彼女が籍を入れたがらないのはこれが理由なのだろうか?


彼女が私に向けてくれた好意は偽物だとは思えない。
それなのに彼女は籍を入れることに異常に反対する。



「おや?」



ふと、彼女が先程読んでいた手紙が目にはいった。
封筒にはしまっていなかったが、文章が見えないように伏せてある。
私は興味本意でそれを手に取った。
普段なら人のプライバシーを勝手に侵すことはしないが、何かと彼女について秘密が多く、彼女を取り巻くものを知りたかったのだ。
彼女が帰ってくる前に読んでしまおうと急いで読む。
だが、私は手紙を読んだことを後悔した。



「…え?」



最後の締めの言葉に『この手紙が着いた3日後、柳生比呂士を殺せ』と書いてあったのだ。


何故?


何故彼女が私を殺さねばならない。
彼女は私の想い人て私の護衛―――



「っ!?」



まさか、最初から私を殺すために近づいて嘘の感情で私に取り入ったのか。
あの笑顔も、泣き顔も、あの言葉も、全て嘘――――?


でも、それなら何故彼女の表情はあんなに美しかったのだろうか。
あれが嘘の感情だとは思えない。
彼女が私に向けた好意は淀みのない素直な感情だと思う。



(もし、そうならば)



私は彼女が向けてくれた感情を信じよう。
私を殺しに来た刺客などということはどうでもいい。
そして彼女を絶対に自分のものにする。
彼女を苦悩から救ってやりたい。。
彼女を、幸せにする。



(そのためにはまず彼女の家からどうにかしますか…)









あと少しの嘘だから
(どうかその間だけは幸せをください)

(私は彼女を信じよう)


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