「誰か、呼んだ…?」

刹那はくるっと振り返ったがそこには誰もいなかった。

「気のせいかな?」
「いや、あっちだと思いますよ」
「へ?」

ほら、と空狸が指す方向を見れば物凄い勢いで走ってくる少女、ココがいた。

「せっちゃーん!」
「ひゃ!」

ココは少しだけ減速して刹那に飛び付いた。刹那が倒れないよう調節したつもりだったが受け身の体制がとれていなかった刹那の体は後ろに傾いた。しかし、空狸が「おっと」と、支えてくれたのでどうにか倒れずにすんだ。

「久しぶり、せっちゃん!」

ココは刹那からパッと離れたかと思うとすごく目を輝かせていた。

「えっと…ココちゃん?」
「そうだよ。よかった覚えててくれた」

二パっとココが笑うと刹那も控え目に笑う。ココは「かわいい!」と言って刹那に抱きついた。しかしそんな中空狸は?を飛ばしている。

「あの、マスター。こちらは?」
「おー。君は新入り君?あたしはココ。シンオウでトレーナーやってまーす」
「初めまして。私は空狸と申します。種族はメタモンです」
「…よろしく!」

ココはにっこり微笑んだ空狸に何かを感じたがスルーすることにした。

「そういえばココちゃんはどうしてここにいるの?」
「あ!そうだった忘れてた…。実は和菓子が急に食べたくなって遊びに来たの。というわけでせっちゃん拉致るのでそこんところよろしく」
「え!ココちゃん!?」
「空狸君、他の手持ちの子たちどっかいってるんでしょ?なら戻ってきたら足止めよろしく。あたしのてもちもくるだろうからさ!」

じゃあね!とココは空狸の返事も聞かず走り出した。ぶっちゃけ刹那を連れだしたのは空狸から逃げる口実に過ぎなかったりする。




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