「友人(notナイフ)とスマブラ対戦」
今日の仁王もといフォークの生放送の枠名である。ちなみにナイフとは仁王と共にたまに生放送を行っている人物である。ナイフ個人としては歌い手として活動し、中々の人気を誇っているのだがこれに関してはまた今度。
「……………」
「……………」
仁王は無言で準備をし、勝手のわからないあたしはベッドの上で待機。3DSでポケモンをプレイ中だ。だって仁王の部屋といったらいじる場所がないんだよ。ゲーム専用棚は機材もあるから下手に触れないし、ベッドの下という定番にもゲームがおいてあったのです。しかも普通にアクションゲーム。そこはギャルゲとか置いとけよ。
「井上、できたぜよ」
「おー。お疲れ」
仁王はそういいながら少しカチャカチャとパソコンを触っていた。どうしてもあたしと顔を合わせるつもりはないらしい。
「ねえ、仁王」
「なんじゃ」
「あたしのHNってひよこで大丈夫?」
「おん。問題なか」
「了解。あ、あとさ」
「まだなんかあるんか?」
その時、仁王は振り返ってやっとあたしを見た。よっしゃ、いける。
「…あたしが勝ったらポッキー奢れよ」
「……はい」
ドスを聞かせた声で上から睨み付ければ、案の定仁王は小さくなって返事をした。…やっぱ仁王ってヘタレ?
***
「つーことで生放送始めるぜよー」
【きたあああああ】
【イケボ!】
【友人だれ?】
生放送が開始し、仁王が喋るとコメントほぼ弾幕状態となった。いつも見てるけど流石フォークさん。リスナーさんや、お前らの愛で見えないよ。
「いつもの人も初見の人もいらっしゃいませー。イケボ実況者のフォークなり」
【自分で言ったwww】
【初見。定型文よろ】
【キャーフォークさんイケボー(棒)】
「おいおい、イケボは事実じゃろ。棒読みも止めんしゃい。あと初見詐欺も」
【初見】
【初見】
【初見】
【初見www】
【おまいらwww】
「あーもーやればいいんじゃろやれば!…あーあー、んー、んん……みんなのアイドルフォークだよ!アクション系多いし方言で喋るけど、放送楽しんでってね♪」
「ぶふっ!」
【wwwwwwwww】
【フォークさんの萌声キターーー!】
【吹き出したのだれ?】
【彼氏いるの?】
【タグ追加しといたよ】
【後ろの人笑いすぎwww】
【ツボってるしwww】
『フォーク@萌声』
大抵の放送につくタグであったりする。というかここまでの流れはいつものことだったりする。当の仁王は嫌がっている素振りを見せつつ実際は超ノリノリである。だからあたしは聞きなれてるんだけど、あれだ。目の前で、しかも学校ではクールキャラで通っている仁王が萌声で喋りだすというのは相当な威力なのだ。もう笑う以外何をしろと。仁王はジト目であたしを睨みながら頭を軽くはたいた。
「今笑いよったんは友人じゃ。ほれ自己紹介しんか」
「はーい。お見苦しいところお見せしました友人のひよこです!今日はフォークさんとゲームしてフルボッコにします!」
「?!」
【ひよこさん!?】
【有名人ktkr】
【下克上宣言www】
【ひよこだれ?】
【イケボ!】
「あれ、意外と知ってる人いるんだ。イケボ言ってくれてありがとねー!あとフォークさんには超個人的な私怨で潰しに行くので」
【こええ】
【フォーク何したし】
【ひよこさん超有名人じゃん】
「フォークさんにちょいと騙されました…食べ物関係で。ひよこはつぶやいたー位にしか浮上しないから知らない人は知らないんだよね」
はいじゃあバトンタッチ、と仁王の肩を叩く。すると仁王はあたしに「上出来」と耳打ちした。くそ、イケボで囁きやがって!ドキッとするだろうが!
「じゃあ今日はスマブラやってくぜよ。ルールは枠詳細にあるように3機でアイテムはスマッシュボールとモンスターボールのみ…って何モンスターボールつけたしてあるんじゃ」
「ポケモンは大事だよ」
ポケモン廃人のあたしがモンスターボールを抜くわけないだろう!ドヤ顔をしてやれば仁王は仕方ないと言うようにため息をついた。
「で、3回戦やって勝ち数の多い方が勝利。負けた方は次枠の間にコンビニで何か買って来ると」
【パシリじゃん】
【さすがひよこさんポケ廃】
「褒めても何も出ないよ。まあ孵化余りの配布ぐらいはしてしんぜよう」
【超上からwww】
【めっちゃ出してるしwww】
ふっふー。褒められたら調子に乗っちゃうのが雛乃なんだよ!
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