「うわ、ホント声低っ」
学校が終わって家に帰り、ご飯も食べてお風呂も入って課題終わらせて昨日の生放送見てる←今ココ
いや、本当にあたしの声が低い。機械通してるせいもあるかもしれないけど…。そりゃ男に間違えられても仕方ないわ。
「雛乃、そろそろパソコンやめなさいよ」
「……はーい」
ちくしょう、まだ半分も見れてねーよ!
ちぇーと内心ふて腐れながら部屋に戻ろうとするとケータイがチカチカ光った。電話だ。
「…仁王?」
『おお、出た出た』
「いきなり電話とかどうしたの」
『急用じゃ。お前さん、今からうち来れるか』
「行けなくもないけど…なんで?」
『ナイフが会いたがっとる』
「ちゃんと着替えてから向かうので少し時間かかります」
ばっか仁王!ナイフさんいるなら早く言え!こんな格好(部屋着のジャージっす)じゃお会いできないでしょ!やばい、なんか可愛い服!可愛い服どこ!
***
「仁王ー開けてー」
結局選んだのはショートパンツに可愛い女の子がプリントされた淡いピンクのTシャツ。「こんな時間に凝ったオサレしてるとか普通なくね!?」と考えた結果ラフめな格好にしたのだ。だって引かれたくないもん。
「いらっしゃいなり。早かったの」
「ナイフさんを待たせるなんてそんな失礼なことできるわけないでしょ」
「そか。まあ入りんしゃい」
「お邪魔しまーす」
そう声をかけたものの誰も反応する様子がなかった。仁王に聞けばどうやらみんな出掛けてるらしい。
仁王は部屋のドアを開けた。
や、やばい!緊張する!
「ナイフー。連れてきたぜよ」
「し、失礼しまーす」
そーっと部屋に入ると一人の男の人が円卓のそばで座って本を読んでて…ってあれ?なんか見覚えある人なんだが。
「おや、いらっしゃいましたか」
そういってナイフさんは顔をあげて立ち上がった。ってやっぱり!
「初めまして、にはなりませんよね?ナイフこと柳生比呂士です。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
柳生くんだったああああああ!!!え、ちょ、待って!待って待って!柳生くんだなんて聞いてない!
「……何隠れとるんじゃ」
慌てて仁王の背中に隠れたあたしを仁王はあきれた目で見てる。
「だ、だって柳生くん目の前にするとか……無理!」
「それは傷つきますねえ」
「あ、悪い意味じゃなくて!柳生くんカッコいいから!まともに見てられない!」
「井上、柳生のファンじゃったんか?」
「………うん。すごいイケボだし眼鏡だし目付きカッコよすぎてヤバイし髪形綺麗でヤバイし!こんなハイスペック男子の前で平然としてられない!」
「……じゃって」
「ありがとうございます井上さん。ですが仁王くんの後ろから出てきていただけませんか?このまま話すのもなんですし」
にこり、と柳生くんが微笑む。
ああもうテライケメソ!やばいドストライク。もうそんなイケボで話されたらきゅんきゅんしちゃって言うこと聞くしかないじゃんか!
という訳で私は顔を真っ赤にして小さくうなずいたのです。
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