「おはよー」
「はよ」

くああ、とポッドは大きなあくびをした。
只今時刻は7時。サンヨウジム前である。

「なに、眠れなかったの?」
「いや、フツーに夜更かし」

なんとか起きようと目をごしごし擦っているが、うとうとしている。

「電車で寝たら?着いたら起こすよ」
「ん、よろしく」
「よろしくされました。じゃあ行こっか」



***



「まだ開園まで少しあるな」
「並んでる間寝とく?」
「いや、立ち寝は無理があるだろ。それより何乗るか決めよーぜ」

ポッドは電車の中で爆睡していたせいか、まだ眠たげだった。だけど自分の鞄の中からパンフレットを取り出し広げる。

「まずジェットコースターは最初でしょ」
「だな!その次はお化け屋敷とか」
「…あんたはあたしが怖いの駄目だと知っておいて」
「いいじゃんか。楽しいって!」

だんだん覚醒してきたのかポッドのテンションが上がってきた。やっぱりポッドはこうでないと。

「で、最後は定番の観覧車で!あたしずっとこれ乗りたかったんだあ」
「嘘、初耳なんだけど」
「あんたらと遊園地行ったことないから仕方ないでしょ。あ、開いたよ!」
「よっしゃ、走るぞ!」
「ちょ、待って!!」

慌ててゲートを通ってポッドはあたしの手を取って走り出した。行き先は話していたジェットコースター。園内の奥の方にあるので他の人に抜かされないように急ぎたいらしい。ただ、

「ポ、ッド、はや…!」

ポッドの足が早すぎてあたしは息絶え絶えだ。

「もうちょっと頑張れって!」

対するポッドは全く疲れていなさそうだ。恐るべき男子の体力。
そうこうしてるうちにジェットコースターの入り口にたどり着いた。まさかの一番乗りだ。

「よっしゃあ!一番乗り!!」
「あ、あんた…」
「ん?」
「…なんでもない」

だめだ、根本的なとこが違う。こいつの体力は底無しに違いない。

「じゃあ乗るぞ!」
「ま、待って…」

まだガラガラの道を進んでいく。またここでもポッドは走り出した。

やばい。あたし、このままジェットコースター乗ったら戻しちゃいそう…。しかしポッドはずんずん進んでくのであたしは諦めて彼の背中を追った。



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