「ということで渚に急遽マネージャーをやってもらうことにしましたー」


「えっと、とりあえずよろしくお願いします・・・?」



今日も部活に幸村が彼女をつれてきた。
しかもいきなりマネージャー。
本人なんか頭がついていっていないみたいだし、はっきり言ってレギュラーたちも訳がわからなかった。



「幸村、質問」


「なに?仁王」



仁王がスッと手をあげた。
それに応える幸村の笑顔は怖いくらいに眩しい。



「なんでいきなりマネいれたん?」



レギュラーは何を聞くかと仁王に向けていた目を答えを聞くため幸村にずらした。



「あぁ、そのこと。もうすぐ練習試合が氷帝とあるだろう?
そのときに手伝いが欲しかったから今のうちに慣れてもらおうと思って。
渚を選んだのはちゃんと仕事をするって信頼できるから・・・・・・ってのは建て前で、俺がずっと一緒にいたいから。
まあ、ちゃんと仕事するだろうしね」



幸村の明らかな公私混同に口を出せる者はいない。
たった一人を除いては。



「・・・精市」


「なんだい?渚」



幸村が横にいた渚の方に振り返ると



「あんた、何考えてんの?」


「え?」


「練習試合に手伝いが欲しいならちゃんとそう言え。
用件も言わずに引っ張ってくるな。
あと部長が公私混同しない。
当たり前のことでしょ。分かった?」



物凄い勢いでまくしたてられた。
さすがの幸村もたじたじだ。



「返事は」


「あ、そうだね・・・ごめん」


「分かればよし。私も仕事はちゃんとするから精市も練習がんばって」


「あ、ああ」



これを見ていたレギュラー人曰く
『初めて幸村がヘタレに見えた』
とのこと。
そして渚が
『幸村をもしのぐ神に見えた』
とのこと。


そして、幸村本人はこれをネタに仁王と柳に1週間ほどからかわれたとか。





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