「そういえばさ」
末梨はいきなり思い出したかのように言った。
「明日、レギュラー全員家にくるように言ったから」
誰と言わずとも幸村に向けられた発言だ。
「俺は、どうすればいい?」
幸村は悲しそうに笑って末梨に尋ねた。
自分達とは器が違うと3人は思った。
自分達が悔やんですんなり受け入れられなかったことを幸村は受け入れた。
そして主に指示を仰ぐもののきっと何をするべきかなんて本人はわかっている。
「明日の朝10時にうちに死神の姿できて。義魂丸使えばいいから」
「わかった」
このとき3人は初めて2人の主従関係を感じた。
有無を言わせない末梨の言い方、態度。
それに何も言わずただ了承する幸村。
そしてその間に見えた強い信頼の絆。
きっとこの2人は今までも互いの信頼と協力で何事にも耐えてきたのだ。
だからこそ悔やまずに受け入れられる。
いや、悔やんで受け入れて、そして前に進もうとすることができるのだ。
「もう、戻ることはできないんだね」
幸村は誰に言うわけでもなく呟いた。
そしてその言葉は全員に重くのしかかった。
「うん、戻れない」
末梨の返答に痛感した。
もう戻ることも今まで通りに過ごすこともできない。
自分たちには進む道しか残されていないのだ、と。
そう暗くなっていたところに末梨が言葉を発した。
「だからさ」
希望の光を指し示すかのように。
「思いっきり進んでやる。アイツの策略なんか全部ぶっ壊すし、戻る必要のないくらい幸せになってやる。あたしたちは間違ってなかったって証明する」
それでいいでしょ、と末梨は笑った。
一同は呆然としていたが、フッと笑みをこぼした。
「そうだね、思いっきりやってやろう」
「データを上回ってくれるといいな」
「全部めちゃくちゃにしてやるぜよ」
「お互い悔いのないようにしましょうね」
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