赤也side


まただ

何日か前に見たバケモノ。
形は違うけど、この前のと同じようなのだと思う、多分。

ついこの間まで忘れてたけど、さっき日生#先輩がバケモノにむかって叫んだときに思い出した。
つーかなんで俺、あんなバケモノのこと忘れてたんだ?
普通覚えてるだろ・・・


そんな場に合わぬ呑気なこと考えてたらいつの間にか真田副部長、丸井先輩、ジャッカル先輩が近くにいた。
柳先輩が召集したらしい。



「・・・丸井先輩」


「・・・なんだよ」



バケモノから目が離せなくて先輩の方を見ずに声をかけたらめっちゃ声が震えてた。
うわ、情けねぇ。ぜってー先輩にからかわれる!!
そう思ったのに先輩も俺と同じように震えた声で返事をした。



「あれ、見えてます」



あれが何なのか、言わずともわかるだろう。



「ああ。ついでに言えば数日前のことも思い出したぜぃ」



きっとジャッカルも真田も同じだ、と先輩は言った。
俺もそう思う。



「この前戦闘してたのは日生先輩と柳先輩だけじゃ無かったっすか?」


「ああ、そうだ」


「「!!」」



ずっとブツブツ何かを呟いていた柳先輩が話に入ってきたからびびった。



「この前戦ったのは俺と末梨だ」


「なんで仁王先輩たちは戦わなかったんすか?」


「つーか柳は参戦しなくていいのかよぃ」



こんな質問をさらりとしてしまうこの状況はきっと何かが狂ってるだろう。



「仁王と柳生は自らの力の露見を恐れたのだろう。特に仁王はな。
それと丸井、俺は戦わないわけじゃない。戦えないんだ。俺はあの時の力を自分で制御しきれていない」


柳先輩の意味深な言い方には何が隠されているのか分からなかった。
でも、このときの柳先輩はすごく悲しそうで辛そうで、










何かを憎んでいるようだった。










だから、俺たちはこれ以上何かを聞くことができなかった。


赤也side end








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