蓮は授業をさぼったことを怒ってはいなかった。
逆に何かあったと悟って心配してくれた。
ことをすべて話せば嬉しそうにして「よかったな」と言ってくれた。



HRが終わって、あたしはテニス部に行くことにした。
この前もテニスをしたけど、今日は手加減せずに本気でテニスがしたくなったのだ。
今日は先生たちの仕事の関係で部活は無いのだが、テニス部は全国常連、試合も近いため特別にレギュラーだけ練習許可を得ていた。


コートに着いて真田に試合をしたいと言えば驚いていたがレギュラー達のいい練習になるといって許可をくれた。



「仁王、やんない?」



本気を出しても平気なのは蓮、仁王、柳生の3人だ(知らないうちに本気出して霊圧で相手潰しちゃうってことがあるから、ある程度耐性のあるやつがいいんだよね)。
そのなかで仁王を選んだのは元死神で霊圧もある程度大きいから。
仁王もあたしがそう考えていたことが分かったようですんなりOKしてくれた。



「いっとくけど、封印解くからね」


「・・・さっき封印状態でも俺死にかけたんじゃけど」



仁王が顔を青くしたけど無視だ、無視。
死にかけたってオーバーだっつの。

周りにばれないように蓮にもしもの時のための封印道具を渡す。
蓮一人じゃ抑えきれなかったらときは柳生に援護を頼むように言っといた。

あたしがコートに入ると柳生に泣きついてた仁王がしぶしぶとコートに入った。
柳生は迷惑な人が離れて清々しい顔をしている。
ホントに紳士か、お前。



「俺も、本気じゃからな」


「当たり前でしょ。手抜いたらぶっ潰すよ?」



魔王様フェイスでにっこり笑えば仁王の顔がさらに青くなった。




―――
―――――



「・・・行くぜよ」



試合開始。
サーブは仁王から。
ボールを高く上げ綺麗なフォームで打つ。
そこそこ威力はある。
でも・・・



「本気ってこんな物?」



あたしは難なく返す。
威力2倍返しのオプション付きで。



「やっぱ強いの」


「褒めたって何も出ないよ」



周りの負担にならない程度に霊圧を調整しつつ、調子を上げていく。



「仁王君に日生さん、生き生きしてますね」


「素を出せる人間が増えるのは嬉しいことだろう」



コートの脇での二人の会話を頭の隅で聞き流す。
いつの間にかいろいろ話したっぽい。



(そろそろ決めないとね・・・)


どちらもポイントはとれず、ラリーは10分位続いていた。
このままだとボールだけに意識が行って霊圧のコントロールを忘れるだろう。

あたしはわざとボールを打ち返さなかった。
きっとあたしがスマッシュを打っても返されるだろうから。



「なんで返さんかった」


「一回止めて熱冷ませないと霊圧のコントロール忘れるでしょ」



そういうと仁王はバツが悪そうに顔をしかめた。
途中から半分コントロール忘れてたよね。



「次はわざと外すんは無しじゃからな」


「はいはい」



そういって仁王はサーブを打つ。
さっきより重い打球だったけれどあたしはあっさりと返す。
それを仁王も余裕そうに打ち返してきた。








()
- 40 -


prev|next


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -