「話な、全部聞いとった。日生が来る前から待っとった」
3人ともその場に座り込んだ。
盗み聞きして悪かったのと仁王は謝った。
「仁王君、授業は?」
あたしが来る前ということは授業が始まる前だ。
柳生はお願いしたでしょう、と半分切れている。
「安心しんしゃい。斬魄刀使ってで誤魔化しとる」
「・・・そんなことに使っていいの?」
仁王の斬魄刀がどんな能力か知らないけど、さぼるために斬魄刀を使うなんて・・・
あたしでも流石にしたこと無い。
「まぁいいじゃろ」
話戻すな、と仁王は続けた。
「俺は日生が死神ってことも柳生が滅却師ってことも柳が見えとるってことも全部知っとった。
でもなんも起らんかったから接触する必要はないと思ったんじゃ」
結局部活で接触したがの、と仁王は自嘲気味に笑う。
「この前の事が無かったらこれからもそのことで関わろうとは思わんかったんじゃ。
じゃけどあれにはアイツの意図によって起されて、俺の存在なんかとっくにバレとったって分かってな。
それなら正面切ってぶっ潰してやろう思ったんじゃ」
柳生はアイツとか意図とかきっとよくわからないのだろうけど静かに話を聞いている。
「でも俺だけじゃ勝てるとは思わんくって、結局日生の力頼らんといかんと思ってな。
認めるのは悔しいけど日生のとこ行こうと思ったところに、柳生。お前さんに入れ替わるように頼まれた。
思いつめた顔しとったから何しようとしとんのか一発で分かったわ。
だから斬魄刀使って先回りして、全部聞いた」
これで全部じゃ、とまた自嘲気味に笑った。
柳生が無言仁王の腕もつかんで立たせる。
顔の表情は見えない。
「やぎゅ―――」
バキッ
仁王の声に柳生はキッと顔をあげるとグーで仁王の顔を殴り飛ばした。
「痛っ・・・」
油断していたのか倒れた仁王は少し飛ばされ、うずくまっている。
「柳生・・・仁王・・・」
あたしは何もせずに傍観する。
柳生が何を言いたいのかわかるから。
柳生は仁王の胸倉を掴むと怒鳴り散らした。
「貴方は!!私が滅却師と知っていてなんで何も言わなかったんです!?
言えることはいくらでもあったでしょう!!
それなのになんでそのままため込んでいたんですか!!
私はそんなに頼りないいんですか!?
私たちは、仲間じゃ、無いんですか!!!」
言いきった柳生は肩で息をしている。
仁王はその勢いに目を白黒させていた。
「スマン・・・」
そう謝る仁王の顔はどこか嬉しそうだった。
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