「柳生?」


「いえ、私ではありませんよ」


「こっちじゃ、こっち」



声のした方にに振り向けばそこには仁王がいた。
《柳生比呂士》のふりをして、授業に出ていたはずの仁王がだ。



「面白そうな話しとったの。俺にも話しんしゃい」


「「……っ!!」」



ニヤと不敵な笑いを浮かべる奴は全てを知っているかのようであたしも柳生も悪寒を感じた。



「あ、んたに話すことなんか、何もない・・・!!」



やっとのことで絞り出した声は情けないくらい震えていて掠れていた。





日生の人間が、何故只の人間に怖気づいているのか

この男が只の人間としては考えられない霊圧を垂れ流しているのは何故か

面白いと言っているのはなんのことか





「・・・咲き誇れ、桜凛」



ぼそっと誰にも聞こえないくらいの声で斬魄刀を解放する。
その目はうつろだ。

柳生は信じられないと言ったようにこちらを見ている。



「おっと。俺は戦う気はないぜよ。
月深の姫さん相手に勝てるわけ無いじゃろ。
刀、しまいんしゃい」



あたしはいつの間にか凄い重い霊圧を流していたようで仁王は少し辛そうだった。

だからと言って刀をおさめる気はない。



「俺も元死神じゃ。アイツに殺された、の。
姫さんも同じじゃろ?」



その時の仁王は今までにないくらい悲しそうに笑った。



「弟を人質に取られての。ろくに抵抗も出来ずに死んだわ」



その言葉にあたしは刀をおさめた。


あたしも、大切な人を人質にとられた。
どこかに捕らわれたということわけでもないが、逆らえば、殺すといわれた。



「やっと分かってくれたか」



「あたしも、大切な人を人質にとられたからね」



フッと微笑むと柳生と仁王が崩れるようにその場に倒れた。
二人とも息が荒い。



「え、ちょ、何!?どうしたの二人とも!?」



慌てだすと柳生に睨まれた。
とても弱弱しいものではあったが。



「ご自分の、霊圧の大きさをご存じで…?」


「結構…キツ、イぜよ…」


「あ、ごめん…」



封印中だから大丈夫だと思ったと言うと二人が目を大きく見開いた。



「こんなんで封印中かいな」


「化け物、ですよ」


「失礼な」



二人が落ち着くのを待っていると5分位で落ちついた。
そんなにきつかったかな?








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