「断ち切れ!!奥梨丸!!」



その声にバッと頭をあげると、死覇装姿の末梨が虚に切りかかろうとしていた。



「白凱!!」



スパンと、風と共に虚の頭をたたき割る。



《ヴ・・・ヴァァ・・・》



虚はやがて透けはじめ小さな粒となって空に消えた。







――
―――――



「二人とも、怪我はしてない?」



末梨は険しい表情で柳と赤也に尋ねる。
今はテニス部レギュラーとともに部室にいる。



「大丈夫っす」


「術の反動以外何ともない」


「ならよかった・・・」




そう言いつつ険しい表情の末梨に皆声を掛け損ねていた。




「・・・末梨」



「なに」



沈黙を破ったのは柳だった。




「皆にこの状況を説明してやれ」



「断る」



考える素振り見せずに答えた末梨に柳は目を見開いた。




「どうせ何も見えてないでしょ。それに、記憶消すしね」



「「「!!!」」」



レギュラー全員が固まる。




「平部員の記憶は消した。さっきの騒動のことはもう覚えてないよ」



淡々と話す末梨にレギュラーは恐怖心を覚えた。
いつも自分たちとふざけあっている姿とは似ても似つかない。




「安心していいよ。痛みも何もないからさ」



そう言って落ち着かせるように微笑んだ末梨の笑顔いつもとかわらなかった。




それからまた沈黙が続いた。


5分位たった頃か。

レギュラーは強い眠気に教われた。



「・・・おやすみ」





ふと目の端に見えた末梨の顔が泣きそうに見えたのは気のせいだろうか・・・?






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