赤い血が飛ぶ



赤也の足元に落ちているのは









虚の、腕。














「俺、何ともない・・・?」



痛みはない。
信じられず、腕や足、体のあちこちを見る。



「無事か?赤也」



頭上から振ってきた声に顔を上げるとちょうど西日が目に入り、目を細める。
そこには見知った顔があった。



「や、なぎ、せん・・・ぱい?」



うっすらと瞳をみせた柳が赤也の前に虚から庇うように立っていた。
だが、それは柳に見えない。
姿形、雰囲気が違う。
目は純金に染まり、体の周りに電気を纏っている。



「ああ、俺だ」



まだ動揺しているであろう赤也の頭をポンポンと撫でる。



「怪我がなくてよかった・・・」



柳も怪我が無いのを確認し、ホッと安堵した。


そのとき、



《ウオオォォォ!!》



腕を切られおとなしくしていた虚が暴れだした。



「しつこいな」



ぼそっと赤也にも聞こえないくらいの声で呟いた柳はスッと指を虚のほうに指した。



「消えろ」



ドン!!



柳がつぶやいた瞬間、虚に雷が落ちた。



「すげぇ・・・」


「・・・」



かなりの高威力だ。
これには虚にもひとたまりもないだろう。




だが、



《ウォ・・・オ゛ォ゛・・・》



砂埃が消え、虚が見えてきた。

まだ、消えていない。



「なっ・・・まだ生きてる・・・!!」


「くっ・・・」


《ヴ・・・ヴォオアァアアア!!》



ダメージを受けて瀕死寸前にも関わらず、柳の魂を喰らおうと襲いかかる。
それに反して柳は技の反動か動けない。
一撃目は何ともなかったが、二撃目は体への負担が大きすぎたらしい。



「くそ・・・」



万事休すか・・・










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