「お手柔らかにお願いしますね!!」


「はぁ…」




結局あたしが蓮の口に勝てるはずもなく、3試合する羽目に。



目の前の赤也が超純粋な笑顔でこっちを見てくる。

これがいつもだったら抱きしめてやるのに…(可愛すぎるよ、あれは)。



まぁ男子相手に3試合はキツイだろうということで力を少しだけ解放。


蓮にも言ってあるし、なんかあった時のために封印に必要な道具は渡しておいた。





「いきますよ!!」


ドン、と赤也のサーブが入る。


あー…
ボーっとしてたら点取られちゃったよ。



「15-0」


審判の真田の声が響く。
てかテニス部全員でこの試合見学してない!?



「へへっ」



赤也がものすごく嬉しそうな顔をしている。


それもそうだろう。
なぜなら前回の試合では

赤也はポイントが取れなかったから


あたしの実力知らなかったから女に負けたってすごい泣いてたんだよね〜



「次も貰うっすよ!!」



赤也が構える。



「らぁ!!」


ナックルサーブかよ!
打ち返すのメンドイなぁ



まぁ簡単に跳ね返る場所はわかるけど。



「甘いよ」


ドン、と女子が放ったとは思えない威力でボールは赤也のコートに入った。


赤也はサーブを打ち終わった体制のまま固まっている。



「え…?」



周りがざわめく。

ここにいるテニス部員、真田と蓮以外はボールが見えなかっただろう。




「赤也。さっきのナックルサーブ、威力は上がってたけどそのあとの反応は悪くなってるよ」




「15-15」


真田、うちのセリフ待ってコールかけてくれたね。
ありがと〜




この後赤也は焦ったのかうまく調子が出ず、あたしに完敗した。


ポイントとれたのは最初のだけ。


やっぱり悔しがって泣いた。


すこし励ますか。



「赤也、ボール打った時の威力、凄く上がってたよ。パワーついたね。後は瞬発力かな?それと点を取られても焦らないこと。今日の敗因はそれでしょ?」


「…っす」


「わかってるならいいね。赤也は強いんだから1回負けたぐらいでへこたれないの。いい?」


「っす!!」




うわ、一気に元気になったよ。
凄い笑顔だし…



あ〜抱きしめたい!!



「日生先輩、ありがとうございました!!」


ぺこ、と丁寧に頭を下げて赤也はコートを出た。




さすがに真田からの制裁はない。
だって真田もあたしに勝てないしね。


「次は俺だぜぃ!!」



あーそっか


ブタと白髪も残ってたんだ



面倒だから適当に終わらそ。







そしてブン太と仁王はサービスエースとリターンエースだけで勝ちました。
もちろん点は取られていません。




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