「悪かったな、担いだりして」



いつのまにか痺れが引いたのか、蓮は立ち上がりあたしの頭をポンポンとなでた。



「う、ううん……」



開いた蓮の瞳が『後で覚えていろ』と言っているのは気付かないぞ。うん、気付かない。



「そうだ。弦一郎」


「なんだ」


「今日一日だけ末梨をマネージャーにしたいのだが」



やべぇ…
蓮、それは『今日一日だけ末梨をマネージャーにさせるから。決定事項だから拒否権はないぞ』にしか聞こえないよ…



「あ、あぁ…構わん」



真田もそう聞こえたっぽいね。



「おい、##NAEM1##」


「何?仁王」



呼ばれて近寄ると仁王は軽くしゃがんで顔の位置をあたしにあわせた。
なんかムカつく…



「お前さん、なんで一日マネージャーなんぞやるんじゃ」


「あ―、迷惑料」


「なんスか、それ?」


「部活の時になったら分かるよ」


「つ―か日生にマネージャー業なんてできんのかよぃ?」


「うっさい黙れデブン太」


「俺はデブじゃねぇ!!」


「あたしと1cmしか背変わんないのに20kg近く体重差あるなんてデブでしょ!?」


「俺は筋肉があんの」


「それを言ったらあたしには胸があります」



周りはまたかと苦笑する。
あたしとブン太は会うたびにこうやって言い合う。
別に仲が悪いわけではない。
挨拶みたいなものだ。
いつもならここで終わるが今日はブン太が言い返してきた。









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