博士とヒカリと別れた後、あたしはお父さんに連れられてポケモンセンターに戻ってきた。愛和の回復ついでに渡したいものがあるらしい。なんでこんなとこにいるのかと思ったらそういうことか。

「ほい、これだ」
「これって進化の石?」

差し出された袋を受け取ればそれはずっしりと重かった。

「ああ。オレンジとレモンは進化の幅が広いし、愛和君だっけ?あの子もエルレイドに進化するなら必要だしな」
「でもこんなに要らないんじゃ…」

袋の中にはイーブイもキルリアも使えない石まで入っていた。持ってきてくれたのはありがたいけど、旅には邪魔になるかなあ、なんて考える。こんな重さの物リュックに詰めてたらリュックが壊れそうだし。

「なんか石使うポケモンを捕まえるかもしれないだろ。それに最終的に必要なくなったら売ればいいからな」
「やー、売るのはもったいないなあ」

仕方ない、取っておこうと決め、袋をリュックに詰める。愛和を待つためロビーでくつろいでいるのだが、オレンジとレモンは炎華さんと原型の状態でじゃれていた。その横で擬人化したフシキバナの爽華が微笑ましそうにそれを見ていた。あたしもそこに混ざりに行こうかなーと思った矢先、受付に呼ばれた。愛和の回復が終わったようだ。ちぇー、とタイミングの悪さに悪態をつきながら席を立つ。お父さんは苦笑しながら「行ってこい」とあたしを送り出した。

「はい、ラルトスは元気になりましたよ」
「ありがとうございます」

愛和の入ったボールを受け取ると、愛和は勝手にボールから飛び出してあたしの頭に飛び乗った。

「…ねえ、重いんだけど」
『ボールの中、窮屈だから嫌なんですよ』
「じゃあ抱えるから頭乗らないで」

このままじゃ首を痛めそうだ。だからボールをベルトにセットして愛和を抱える。それから皆のもとに戻ってあたしはまだ話をしてない爽華さんの元へ直行した。

「爽華さん、久しぶり」
「あらココ。久しぶりね」

にこり、と微笑んだ爽華さんは名前の通り爽やかだった。

『初めまして、愛和です』
「初めまして。フシギバナの爽華よ。よろしくね」

また優しく微笑んだ爽華さんに愛和はあたしの腕の中でぺこりとお辞儀をした。…よく思うんだけどラルトスの時の行動ってホント可愛いと思うんだ。

『爽華、ちょっとその借りてもいい?』
「あたしはいいわよ。挨拶も済んだし」
『じゃあココ、愛和借りてくわね』
「どうぞー」

ほい、と愛和の意見も聞かず炎華さんに差し出すと、炎華さんは愛和の首根っこをパクリとくわえて連れてった。当の愛和はピシリと固まっている。な、なにこれ可愛い。

「炎華ったら完全に自分の子供の扱いじゃない、あれ」

そう言いながら爽華さんはくすくすと笑った。そして少しだけ悲しそうな顔をしてあたしの方に向き直った。

「ねえココ、ちょっとお願いがあるんだけど」



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