「戻ってきたねー」
『戻ってきましたね』
「自転車あったらハクタイ行けたのにね。持ってこればよかった」
『まあ荷物になるから仕方ないな』

ジム戦の次の日、あたしたちは炭鉱を見学しに行った後、コトブキシティに戻ってきた。ハクタイシティはクロガネシティの北にあるから本当ならそのまま北上したかったけどサイクリングロードのせいでそれができなかった。自転車はマイホームに放置なうなのです。だからあたしたちは諦めてコトブキに戻ってソノオ、ハクタイの森を通ってハクタイに行くというなんとも遠回りで面倒な道を行く羽目になったのである。

「もうさっさとソノオに行っちゃおうか」
『そうだねー。夜には着くだろうしー』

特にコトブキに用事があるわけではないのでさっさと行こうと北口に向かう。するともう少しで街を出るというところでなにやら声が聞こえた。少し騒がしい感じだったからちょっとした野次馬気分で様子を覗いてみたらエメラルドグリーンのおかっぱ二人と言い争っているヒカリとナナカマド博士がいた。

『ギンガ団…』
「え?」
『あいつらですよ』

愛和が舌打ちをして忌々しげに吐き捨てる。

『ココ、オレンジとレモンをボールに戻してください。博士たちを助けにいきますよ』
『おい、なんで俺らを戻すんだ』
『イーブイは珍しい種族です。あいつらは必ず欲しがります。進化の多彩さは実験のいい材料になりますから』
『僕らそんなに弱くないよー?ちゃんと戦える』
『上から高レベルのポケモンを支給されている可能性があります。とりあえず戻ってください』
『…わかった。だけどお前は?』
『捕まったら少し前の生活に戻るだけですよ』
「捕まる前提で話進めるなし」

ごちんと愛和にげんこつを落としてオレンジとレモンにボールを戻した。愛和が頭を押さえながら恨めしがましく見てくるけど知るか。

「だれもあんたを渡したりはしないよ」

ぽん、と愛和の頭を撫でる。愛和は無言で力強く頷いた。

「行くよ」
『……はい』



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