愛和はココに話したことをもう一度、今度はオレンジとレモンに対して話した。その間ココは愛和の手を握っていて、そのお陰か愛和が再び泣き出すことはなかった。

「……やはり、重苦しい空気になったでしょう?」

一通り話終えた後、愛和は眉を下げて笑った。それに対してオレンジ、レモンは無表情で沈黙を突き通していて、口を開こうとはしない。愛和はその事を不安に思ったのか、ココの手を握る力が少しだけ強くなり、うつむいた。ココも愛和の気持ちを察して、少し強めに手を握り返した。

「ココ」
「……なに?」
「旅の目的ってジム制覇からのリーグ挑戦だったよねー?」
「うん、そうだよ」
「それ、一つ追加」
「ギンガ団をぶっ潰すー!!」
「……っ!!」

愛和が泣きそうに歪ませている顔をあげると満面の笑みを浮かべるオレンジと、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべるレモンがいた。

「潰すぐらいで気がすむかはわかんないけどな」
「文句はないでしょー?」

ココ同意を求める二人の視線と共に愛和もココを見つめた。その顔はすごい不安気で、ココは愛和の頭の上にぽん、と手を置くとニヤリと笑って口を開いた。

「異論なし!!ギンガ団はギッタギタのメッタメタにする!!」

高らかにそう宣言すると愛和は「ありがとうございますっ…」と消え入りそうな声で呟いた。嗚咽をこらえるような泣き声にココは優しく愛和を抱き締めた。

「わー、愛和って以外と泣き虫ー?」
「うるさい、ですよ」
「今ココに手を出そうものならシャドーボールぶちかますからな」
「やめて。あたしにも当たるから。寧ろあたしの方が大ダメージだから」
「知ってる」
「おい!!」

ぎゃーぎゃーとレモンとココが喧嘩をしだすと愛和は堪えきれなくなったのか、笑い出した。そうするとココの矛先はレモンから愛和に変わって、ココは愛和に腕ひしぎを決めにかかった。

「ちょ、何する気で………いだだだだ!!」
「お前が笑ってるからだバカ!!」
「理不尽ですよ!!痛い!!痛いんですって!!」

愛和がバンバンと床を叩くのでそろそろ解放してやろうと技を緩めると愛和はギロリと睨んできた。

「腕が使い物にならなかったらどうする気ですか!?」
「大丈夫。手加減したし。それに技かけられても腕が使えることは実証済み」

ビシッと親指をたてると愛和は呆れたようにため息をついて助けを求めてオレンジとレモンを見たのだが、二人の達観したような表情に固まった。そりゃね、実証したのはオレンジとレモンなんだからね。ヘルプ求めても諦めろって言われるだけだよ。実際口パクで言われたのか、愛和はがくりと項垂れた。




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