昨日あたしはいつの間にか寝てしまっていたらしく、目が覚めたときには愛和はとっくに起きていた。その後もう夜になっていたので食堂でご飯を食べた。食堂のご飯も美味しいけどやっぱりレモンの手料理が食べたい。あと愛和とお風呂に入った。もちろん原型で。愛和はまだ擬人化できないし。愛和は滅茶苦茶恥ずかしがって逃げようとしてたけど無理矢理入れた。ねんりきとかテレポートを使わなかったところを見るとその手が思い付かないくらいテンパっていたのだと思う。寝るときはベッドが1台しかない部屋に止まったから愛和はあたしと寝た。抱き締めて寝ると寝てる間に締め付けすぎるといけないと思って一緒に布団を被っただけにした。
はずだったのに!!
わたくしは今誰かに後ろから抱き締められています。いや犯人はわかってるよ。擬人化した愛和しかいねーよ。擬人化おめでとう!お母さん嬉しいよ!なんて言ってる余裕はありません。あたしが愛和に抱き締められていると信じたくない理由はひとつ。置かれてる手の位置がイヤらしい!しかも絶対確信犯だから!起きてるからこの子!
「ココ…」
「っ…」
愛和があたしの首に顔を埋める。くすぐったくて身をよじると愛和がクスクスと笑った。愛和の手がすうっと太ももを撫で上げる。
「ちょ、愛和…!!」
「可愛いですね」
昨日までの純情な愛和はどこに行ったあああああ!!
「も、ホントやめて」
「我慢しなくていいんですよ」
「っあ…」
耳を舐められてつい声が漏れる。腕を振りほどこうとするがびくともしない。
「もっと声だしてください」
「「朝から盛るな変態」」
「…痛いじゃないですか」
ごん、と思いっきり殴られた頭をさする愛和。あたしはなんか聞きなれた声がするなーと思ってたら、
「当たり前だろーが」
「思いっきり殴ったからねー。で、そろそろココ離してくれるー?」
とショートの茶髪に黒いジャケットを羽織って白いパンツをはいた男とクリーム色の癖っ毛にオレンジ色のパーカーを着てサスペンダーをしバギータイプのジーンズをはいた男がいた。
「レモン!!オレンジ!!」
そう、二人はフタバタウンに置いてきたはずの双子のイーブイのレモンとオレンジでした。
「ココは離しませんよ」
「ならシャドーボールをぶちかますまでだ」
「やれるものならやってみなさい。念力で跳ね返して差し上げます」
にっこりと笑う愛和と目付きがいつもより3割増で悪いレモン・珍しく無表情のオレンジの間で火花が散っております。私はその板挟みになってるのでとても怖いのです。とりあえず早く離してくれ、愛和さんや。つーか二人は何でここにいるんだよ。
×:→
(#book_←#)