「じゃあ行ってきまーす!!」

あたしは愛和を抱き上げ、オレンジやレモン、博士に手を振りながら出発した。ヒカリに話聞きたかったけど3人はいまだにバトルしてたから諦めました。愛和はもがいて腕から抜け出そうとしている。無理だよ愛和。あたし結構力強いから。

「まずはコトブキシティだね。半日あればつくかな?」
『貴女が道草を食わなければ』
「食わないから」

こいつはツンデレかな、いつかデレるかななんて考えながら歩いていると誰かに声をかけられた。いきなりのことで驚いたのか愛和があたしの腕の中でびくっと体を強ばらせた。振り向くとそこにはひとりの短パン小僧の姿が。

「えっと、何か用?」
「お前、トレーナーだろ?」
「うん、そうだよ」
「ならバトルしようぜ!!」

短パン小僧がボールを突きつけて高らかに言い放った。愛和を見てやれば、愛和は明らかに怯えていた。

「愛和…?」
『嫌、です…』

ガタガタと愛和は震えだした。この怯え方は尋常じゃない。そう判断したあたしは愛和の頭を撫でながら短パン小僧の誘いをやんわりと断った。あからさまにしょんぼりする短パン小僧に少し申し訳なく思ったが、愛和に無理をさせるわけにはいかなかった。



***



「愛和、大丈夫?」
『……捨ててもいいんですよ』
「は?」

愛和が落ち着くまで待とうと木陰に座って休憩している最中。愛和に質問してみれば返ってきたのは自嘲気味の笑いだった。

『私はバトルが怖い。戦えないんです。そんなポケモンを持っていてもただ足手纏いなだけでしょう。私としても野生に逃がしてくれた方が…』
「あたしは大丈夫かどうか聞いてんの。その返答をしなさい」
『いだ!』

ゴチン、と愛和の頭をグーで殴る。ちゃんと手加減をして。愛和は涙目で頭を押さえた。

「あんたがバトルが怖いなんてあたしが知ったことじゃないわ」
『なっ…!』
「あたしはねえ、別にあんたをバトルに出したいだけじゃないの!!一緒に旅したいわけ。それにバトルがダメならコンテストだってある。それが嫌だって言うなら他を探せばいい。あたしは愛和を手放す理由はないし、あっても手放しません。だってあたしらパートナーでしょうが」
『!!』
「ということで愛和はあたしと一緒に旅するの。野生に逃がすなんてしてやらないから」
『私の意見は無視ですか』
「勿論。だってあたし愛和好きだし。手放すの嫌だし」
『よくこんな短時間でこんなひねくれ者を好きになりましたね』
「あー…好きっていうよりはなんかこう…。あ、あれだ。なんかビビッてきた」
『………(この人はこんな恥ずかしいことをよく堂々と…!!)』



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