「あれ?」

出発の挨拶をするためにナナカマド博士の研究所を訪ねたら、もともと旅に出る予定だったヒカリ以外にもうちの近所に住んでいるコウキとジュンがいた。どうやら雰囲気からして旅に出るようだが…ていうか二人って旅に出る予定だったっけ?

「あんたら、何かしたの?」
「いや、ちょっと」

ジト目で二人を見ているヒカリが気になってコウキに尋ねたらはぐらかされた。やましいことでもあんのか、こら。それにヒカリとコウキたちって知り合いでもなんでもなかったよね。探りをいれてやろうかと思ったところでナナカマド博士が奥の部屋からポケモン図鑑とモンスターボールとトレーナーカードを持ってきた。タイミング悪いな、おい。いいし、あとで全部ヒカリに聞いてやるんだから。あたしがそう考えている間にコウキはナエトルを、ジュンはヒコザルを、ヒカリはポッチャマを貰っていた。あたしは新しいポケモンは博士に選択を任せたのだ。だからどの種族が貰えるか知らない。そんなあたしに博士はひとつのボールを無理矢理握らせた。

「博士!!この子、ボールから出してもいいですか?」
「構わん」

お許しが出たのでポン、とポケモンを出してやる。出てきたのは殺気の籠った視線を送ってきたラルトスだった。

『貴方は誰です』
「………………」
『まあ通じるわけありませ……』
「可愛いーーーーーーー!!!!」
『うわっ!!』

思わず小さなラルトスに抱きつく。だって可愛いじゃん、ラルトス。大好きなんだよ。博士ぐっじょぶ!!

『は、離してくださ…』
「あ、ごめんね」

苦しそうにもがくラルトスを離すとラルトスは話された瞬間少しあたしと距離を取り、またもや殺気を放ってきた。嫌われてるのね、悲しいよ。

『貴女は私を殺す気ですか』
「だからごめんって。あたしはココ。お願いだから許して」『…私の言葉がわかるのですか?』
「まあね。あ、あとあんたは今日からあたしのパートナーだよ」
『は?どういうことですか!?』
「あー、名前考えなきゃいけないね。何がいいかな」
『貴方は話を聞いているのですか!!』

ラルトスがなんかぎゃんぎゃん言ってるけど無視無視。あたしは名前を考えるので忙しいの。その時あたしの後ろで擬人化していたオレンジとレモンが原型に戻ってラルトスに話しかけに行った。

『諦めろ。こうなったらココは人の話を聞かない』
『自分の世界に入っちゃうからねー』
『…私は貴殿方とその自分勝手な人と旅に出なくては行けないのですか』
『あ、俺らは行かねえぞ』
『大事な妹の見送りだよー』
『…余計に気が重いのですが』
『…頑張れ』

なんか色々聞こえてくるんだけどな?なんか貶められた気がするんだけどな?まああたしは心が広いから許してやろう。それにラルトスの名前も発表しなきゃいけないしね。

「よーしそれじゃあラルトスの名前発表しまーす!!」
『いえーい!!』
「えっと、名前は愛和。愛するに和むって書いてあきなと読みます」
『女の子みたいな名前じゃないですか』
「気にすんな」
『気にします』
『諦めろ』



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