子守歌にしか聞こえない現代文の授業を終えた綱吉は図書室にいた。
昼休みにならないと開かない図書室にいるとは綱吉1人。ここを利用する生徒は数十人いるが、昼食を食べてから来るのが普通だ。
時間が時間なため誰もいないのは不思議じゃない。
綱吉はそれを狙ってやってきた。
『R.G.DS/HC』
獄寺から届いた髪に書いてあった文字を思い浮かべる。
Gは獄寺のGであっているだろう。
渡された時から獄寺からだということは分かりきっていること。
それなのにわざわざ書いてあるということは、獄寺に関係のある場所ということだろう。
Rは、この図書室を意味しているとみてまず間違いないだろう。
readのR。
図書室という意味のlibraryのLを使わないのが、用心深い獄寺らしい。
そして最後のDS/HC。これが1番ややこしい。
ダメツナ時代では絶対に分からなくて泣いてたな、と思い小さく苦笑した。
簡単ではあるのだ、伝える方にとっては。
ただ単純に、携帯で打ちたい文字を打つだけ。しかし、入力モードを“A”の状態で“あ”の時と同じように入力するため、文字は意味不明なものになり解読が難しい。
実際、綱吉も答えを出すのに授業4時間分も費やした。その所為で全く授業を聞いてはいない。
解読しながらの子守歌との勝負はなかなかに厳しかった。
そんな中で、漸く綱吉が出した答え。
「……………見つけた」
図書室。獄寺。
そして最後のDS/HCは、3段目の1番奥。
そこにあるのはオカルトの本が沢山置いてある場所。その3段目の1番奥。
端っこにある本を手に取る。
『黒魔術の術式 サタン召喚術』
「……」
本の題名にはあえて目を逸らし1番最後のページを見る。
「……そっか」
予想していた内容に、ゆっくりと目を閉じた。
『敵は並盛』
心の中に、黒い、何かを感じた。
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