ここはレトロで落ちついた雰囲気が人気のカフェ。平日で時間が時間だけに、パラパラとしか客はいない。

カフェとは、親しい人とゆっくりとした時を飲食しながら、うふふあはは、と楽しむところである。
そのような場では似合わない殺気立った空気が端の席から漂っていた。







「「「…」」」

赤、緑、紫、青、黄。
カラフルとしかいいようがない髪色が5つ。

言わずもがな、バスケをしている人間なら誰もが知っている、キセキの世代こと赤司、緑間、紫原、青峰、黄瀬だ。


各自で注文した飲み物には手をつけず、会話もせず黙り込んでいた。
普通なら、飲み物以外注文せず(しかも飲んでない)殺気立った雰囲気を漂わせ、店内の居心地を悪くするという営業妨害に店員が注意してくるはずだがそのようなことは一切無い。

それもそのはず。
異常に背が高い男が多く威圧的で、しかも機嫌が悪そうときた。本能でいろいろと理解し、関わろうとしない。
正しい判断だ。




彼らの様子の原因は、黒子のことだ。彼らのペースをここまで乱せるのは黒子しかいない。


自分たちの情けない、しかしどうしようもない理由から許してしまった登校に、彼らは不安しか抱いていなかった。が、もう遅いと分かっていた。黒子はもう登校してしまったからだ。

傷つけられてはいないか、泣いてはいないか、エトセトラ。彼らは兎に角心配していた。
なら何故行かせたのだと言われそうなものだが、仕方がなかったのだと彼らは思う。
悪いのは可愛く刺激的すぎた黒子だ。









そんな彼らに近づく人物が1人。




「はじめまして。私、沢田綱吉っていうの」

いきなり現れて自己紹介しだした少女のような見た目の女性に、彼らは誰だコイツという視線を隠そうともしない。


綱吉は彼らの視線の意味を感じ取ったのか、慌てたように喋り出した。

「ご、ごめんっ!いきなり話しかけたら驚くよね、ごめんね。私の周り、非常識な連中ばっかだから…」


どんな連中だ、と心の中でつっこんだ。
だが彼らは知らない。目の前にいる綱吉も、その非常識な連中の筆頭だということを。



あはははは、と苦笑していた綱吉は、しかし一瞬で真剣な顔をした。









「私ね、黒子テツヤ君を助けにきたの」

そう言って綺麗に笑った綱吉に彼らは驚愕した。

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